◆ストリップ型単球式ラジオ◆


 以前、OMさんの作られた空間電荷方式という49を使ったラジオを見て雰囲気共々、こんなふうに見栄えのするストリップ型ラジオを作ってみたいと思っていました。
 このラジオの詳細は、OMさんの「真空管と共に」に掲載されていますのでご一読いただければと思います。


◇42と49という真空管◇

左から12F・42・49プロポーションは最高のST管です。


 使用した真空管は、49という4極管で本来は電力増幅管ということです。スぺースチャージグリッド管として働かせれば、B電圧はかなり低くても働くのが特徴です。
 また、G2をPに接続すればA級の出力管となり、G1とG2を接続して3極管とすればB級の出力管になるというなにやらややこしい変な球みたいです。
 以前、頂いたスぺ一スチャージグリッド管ラジオの回路図を眺めてみると、部品数も少なく、指定されたボビンにコイルを巻けば出来上がるという簡単そうなものです。そして電池は、単1×1と単3×4を用意するだけで電圧の高い特殊な電池は必要としません。
 このようなこともあり、是非とも組み立ててみたいラジオのひとつでありました。ラジオの広告を眺めていた少年期の憧れみたいな・・・・?そんな気分で取りかかることとしました。


◇遊び心いっぱいの単球ラジオ◇

弱った1.2Vの乾電池でも働いてくれた。


 この49という球を使えば、OMさんみたいな格好の良いラジオが出来上がる訳です。
 見た目にもこだわり、小型でレトロな低周波トランスを付けたいと考えていましたので、ガラクタ箱に入っていたトランスケースを再利用することにしました。
 ケースだけでは役に立たないので、小型のTr用トランスを巻き替えて中に入れましたが、これは大変面倒な作業です。拘らなければ、1:2〜1:3の低周波トランスならどれでも大丈夫だそうです。OMさんは1:3がお勧めだとか・・・。


◇巻き替えた低周波トランス◇

レトロな小型に拘りました。


 OMさんは、適当に並べられたのかもしれませんが、このセンスの良さを改めて再認識するところです。どうしてこんなにバランス良く作れるのだろう?と、とっても疑問・・・・・。そして、妙に惹かれるスタイルなんです。これがまた・・・。
 そして、なんと+B電圧1.5Vでもローカルの放送局を立派に受信できたのだから驚きです。


◇簡単なシャーシ◇

土台は、ラジオ少年そのもの!ラワン材のかまぼこ型ラジオです。


 トランスはなんとかなりましたが、ベークボビンは、もう手に入りません。36φのボビンが手に入らないので、39φのラップの芯を代用しました。他に単連バリコンも入手が難しいかもしれません。
 シャーシは、アルミ板の端切れと、端切れのラワン材(9t)です。使いそうでなかなか使い道がないアルミの端切れの有効活用、この端切れでフロントパネルとリヤパネルを曲げて作ります。そして、ラワン材に木ねじで固定して出来上がりという簡単なものです。
 そして、電池Boxにカバーを取り付けることにしました。誰かさんのリクエスト?だったりもします。(このカバーって結構手間なんだよね〜とブツブツ、念仏・・)


◇ラップ芯のアンテナコイル◇

ベークは手に入らないので、それらしく・・・CHも巻き直し

Qメーターもどきでコイルを調整しました。


 配置は、OMさんの例を習い、奥行きを少し長くして電池Boxを取り付ける場所を確保してみました。めんどくさがり屋の私にはピッタリの方法で、電池を入れたまま飾っておくことができます。
 しかし、長期間使わない場合は、液漏れの心配がありますので電池を抜かないといけません。
 コイルは、指定されたボビン径と異なりますので、当然ながら巻数は違います。これは、Qメーターで550KHz、1600KHzで同調するように調整しました。これは、使用するバリコンに合わせる必要があります。


◇完  成◇

部品点数も少なくのんびりやってもやっぱり早い!


◇後  部◇

アンテナ端子はカラフルな陸式端子


 取付場所の関係で、配線はイヤフォン端子と真空管のソケットに予めリード線を取り付けてから固定しました。バリコンの端子も狭いところになりますので、これも先にリード線を付けた方が良いみたいです。
 その他OMさんのアイデアである管ヒューズの中に抵抗を入れ、なんとなくレトロみたいな、メカニックな雰囲気を出すことにしました。200Pのコンデンサーも入れたかったのですが、無理でヒューズ管の下側に取り付けました。
 ヒューズは、新品を使うと勿体ないので切れたものを使います。ガラス管から片側の金属部分を取り外すのですが、金属部部分をライターで炙れば簡単に外れます。※火傷をしないように注意します。


◇前  部◇

それらしく文字を入れて喜んでいます。


 長い間作ろうと思っていたラジオですが、やっと組み立てることが出来ました。真空管だと、コンセントから電源を取り、高圧を掛けて・・というのが当たり前のようですが、常識外れの超低電圧の楽しいラジオが出来上がりました。
 このラジオを組み立てるにあたり、OMさんには大変お世話になりました。感謝申し上げます。ありがとうございました。


<2007.06.06>


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