◆Victor 5A−2280◆


 以前手にしたビクターのトランスレス2BAND5球スーパーラジオです。このラジオの時代はプラケースが主流で35W4-30A5-12AV6−12BA6-12BE6のよく見る球構成となっています。パイロットランプは6.3V150mAですが、球切れでした。
 中身はどうあれ、入れ物がなんとも哀れな姿をしたラジオです。SPグリルの格子9本欠損、ダイアル表示窓の欠けとスピーカーのコーンの歪み、エッジが破れています。更に裏板を固定するガイドまで無くなっていました。簡単にいうとすごく壊れたラジオです。今回は(も)箱の修理がメインということになります。


◇なんとも可愛そうな姿・・・◇

SPの格子が無くなっています。


 トランスレス方式のラジオは、コンセントの差し込み方向により感電することがあります。しかし、このラジオは感電防止にフローティングアース式を採用してありました。そしてヒューズもありません。いかにもアメリカ流みたいな??
 このようなものが昔は売られていたんですね〜。ちょっと信じがたいラジオです。まさか輸出用ということはないと思いますが・・・。
 じつのところ、以前、このラジオを「直して使いますか〜?」と訪ねたところ「ご遠慮いたしま〜す。」とのこと・・・。当たり前といえば当たり前、可愛そうなので箱くらい直しておくことにしました。こんなの直るのかしらん??と疑問は多々・・・。


◇ヒューズの無い変なラジオ?◇

どこを見渡してもホルダーさえ見つからない・・・


 一応受信はするわけで・・・。格子だけでも付けておけば、ちったーマシになりそうみたいです。


  試験通電をしたら、外部アンテナに接続しなくても良く受信しました。さすがにバーアンテナが使われているだけあります。(短波はボビンコイル)
それでも、やっぱりトランスレスラジオですね。電源ON時に12BE6がボワンと明るくなります。よく見るとこの球だけ内部ユニットに焼けたような部分が見られます。電源投入のボワンが良くないのかな〜?大丈夫ということですが、どうも気分的に良くありません。この辺がレスラジオをあまり好まない理由なんですが・・・。
 そして、TUNEがスムーズに行えないと思ったらダイアル糸が緩んでいるようでスリップします。伸びたのかな?これでは非常に使いにくいので、スプリングを調整して直さなければなりません。


◇キャビネットの分解掃除◇

中はホコリと虫さんの死骸で掃除は大変です。


◇プラとウッドのコンビネーション◇

なんとか整えた格子、あとは上手に塗れれば・・・・OKかな?


 せめて折れた格子が残っていれば接着剤でなんとかなったと思いますが、なんにもありません。同質のプラ棒も手持ちにはありません。さてさて・・・。アクリルだと上手く色がのらないし〜、と考えた末に目に留まったのは目の細かい最高級木材?でした。色はのりやすいし、加工も容易で結構丈夫のようです。
 このように木材を選んだのは、ナショナルのAS−400というラジオの格子が木で出来ていたことを思い出して取り入れることにしたのです。しかし、細くて幅も狭く、1本仕上げるのに接着と乾燥で一日かかります。


◇裏板固定用桟◇

天部の白い部分が裏板の固定桟


 さて、どんな格好をしていたんでしょう?天板に2個付いていた筈です。う〜〜んと・・・
 まぁいいか・・・。もう1台ビクターのがあるから参考にしましょう。ということで早速物置へGOです。ガサゴソと探ればあったあった!ビクターの5A-2212が・・・。
 どれどれと裏を見れば造りが全く違い参考にはなりません。仕方ないのでこんなものだろうと適当に作りました。この固定ガイドがないと裏板がパカパカするので非常に調子悪いわけです。
 SPも破れていましたが接着剤で修理したらなんとか使えそうです。でも、フルパワーだとビビリます。フルパワーで聞くこともなかろうしということで妥協・・・考えてみたらその前に音が割れるので支障なしでした。


◇色をつけてみました◇

そして、中身を入れてお終い


◇後  部◇

外部アンテナを付けなくても良く聞こえます。


 このラジオは、コストダウンを狙ったのかと思うところもありますが、いかにもアメリカ的に感じました。とりあえず棚に飾っておいても良いくらい?のラジオになりました。
 もっと簡単に終わらせるのなら格子の折れた部分が隠れるようにパンチングメタルを貼り付ける方法もあります。でも、見た目に全く違うラジオになります。
 これは好みなのでこういったラジオをイメチェンするにはいい手かもしれません。ただし、上手くいけばですが・・・。


◇貼られていた回路図◇

セロテープの跡がなんとも・・・。


◇シャシ裏◇

レスのわりにハムも少なく調整のみ


 回路を見ればごくごく普通のもので、特に変わった点はヒューズの無いこと。日本製にしては珍しくフローティングアース式ということです。
 受信して聞いてみたところハムが少なく中身は良好な状態です。点検してみたところ、コンデンサーも無事で生きています。いずれは交換が必要かと思いますが、当分オリジナルで大丈夫みたいです。


◇お ま け◇

お飾りラジオには最適かも?
おしまい・・・(倉庫にて)


<2007.08.18>


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