◆Victor 6A−2213◆


 これといって変わりばえのないトランスレス式の普通の5球ースーパーですが、レスタイプでマジックアイの付いたラジオは珍しい方かもしれません。
 これは、ちょっと前(随分かな?)に修理してみたものですが、この時点では部品取りにしようかなどと考えていました。
 しかし部品取りといってもIFTはネジ止めでなくカシメ式であんましー!これといってめぼしいパーツもありません。
 おまけにケースも割れに欠損箇所と、更に魅力が失せる可愛そうなラジオなのでありました。
 こういう状態だと飾って置くのもなんだか・・・もはや部品取りとして倉庫かな〜?と考えていたら「そんなの直しましょう!」って言われました。


◇ケースの分解掃除◇

分解して洗ったところです。ホコリがいっぱいでした。


 たしかにそれ以外はまずまずの状態です。おおいに気になる点はこの欠けた部分だけです。
 これくらい直せないこともないけども、裏蓋を外したり付けたりするのに力が加わるところ・・・問題はその後の強度です。
 そ〜っとやれば大丈夫かな?と心配はありましたが、とりあえずやってみることにしました。


◇欠 損 部◇

欠けた部分がなんとも惜しい・・・それにひび割れ


 この部分だけ直せばちったーマシになりそうみたいです。
 黒い点はBAND-SWのポジションマークです。横にバンド切替があるタイプで、正面から見るとスッキリしたデザインです。
 色もライトグレー系で落ち着いた色合いです。う〜ん、やっぱなおそ〜!と心に決めました。


◇中   身◇

掃除をしてみればシャシは意外ときれいでした。


 シャシがこれだけ良い状態なのでやっぱり勿体ない!
 球を挿してSWを入れてみればとりあえず受信はしているようだったし、キャビネットだけでも手を入れれば、それなりのラジオになるかもしれません。
 マジックアイはやや暗め・・・劣化で電圧が下がっていることもありますが、寿命というのが正解でしょうか?


◇補  修◇

補修前と補修後、まだ荒らし上げ状態です。


 クラックは接着剤を流し込んでから完全乾燥を待ちます。
 欠けた部分は薄い板を同じ形にカットしてこれも接着!補強のために裏側からアルミテープを貼付ます。
 乾燥には数日間ほかっておきます。その後パテと研磨で目立たなく処理します。


◇外観完了◇

こんな感じになりました。

磨けばちったーきれいになります。


 眺めてみればやっぱり昭和の顔ですね〜。木箱の大きな時代から見れば小型でスマートな真空管ラジオというところでしょうか?
 たぶんこの時代は小型で高性能を売りにしていたのではないかと思います。そして時代はトランジスターに変わっていったんでしょうね。
 それを考えるとこんなのでもやっぱり古い、とっても古い!と思います。


◇中身の整備◇

コンデンサーがパンクしてました。


 このコンデンサーは100Vラインをシャーシアースするためのものです。コンデンサーが古くなってくるといちばんパンクしやすいところです。
 それにここがパンクしているということは、かなり使い込んでいると考えて良いかもしれません。
 案の定、調べてみたら生き残ったペーパーコンデンサーは2個だけでした。仕方がないのでペーパーコンデンサーは全て交換となりました。
 コンデンサーの交換も終わりSW−ON!今度は大きなハムに悩まされました。これはケミコンの容量抜けを疑います。でなければカップリングコンデンサーとか・・・でも交換したばかりです。
 じゃぁやっぱりケミコンかぁ〜!


◇ケミコン追加◇

立ラグを使い別途電解コンデンサーを付けました。


 今のコンデンサーはとても小さくなっていてこういった細工が容易に出来ます。技術の進歩は凄いですね。ありがたや、ありがたや・・・
 さぁ、バリコンのゴムも交換したし、これで全てOKだぁ〜〜〜。としばらく聞いていました。
 ハムも非常に少なく電圧もちょっと上がり、マジックアイも辛うじて確認出来るようになりました。めでたしめでたし・・・
 ・・・・・と思っていましたが〜


◇カミナリの音?◇

カサカサ・・チリチリ・・空電のイズ?


 時折カサカサ、チリチリ・・ジャジャとかラジオから聞こえてきます。
 あれ???と思ってたらいつの間にか聞こえなくなりました。きっとカミナリさんが通り過ぎたのだろう。
 んで翌日も同じ症状が出て、あ〜今日もカミナリ発生かな〜?そして今度は、なかなか通り過ぎてくれません。
 こりゃあカミナリとちゃいまんねん。とシャシをひっくり返してPAのプレート電圧を測っていたらカミナリ音と同時に電圧変動あり。
 カソードコンデンサーのリーク?いや違う、これOKやもん。したら抵抗か?外して抵抗値をあたれば大きくなったり小さくなったり?これやー!悪い子発見(ミノムシの斜め右上の100Ω)で終わりーでした。
 こういったノイズはIFTの中に付いているコンデンサーが不良だったり、真空管が不良の場合にも発生します。
 しかし、今回の場合はVRを絞った状態でも発生したのでAF部だと確信したわけです。


◇完   了◇

これで普通に使えるようになりました。


 真空管ラジオは再調整が必要となります。なぜならば長い年月を経ているのでBCバンドにSWバンド共に周波数のずれ調整が必要です。
 調整の順番とすれば先にIFTの調整で周波数調整となります。ただし余程でない限り大きくずれていることはないと思います。
 また、良くボリュームを絞ってもゼロにならない真空管ラジオがあります。
 全然小さくならないとか、音量が変化しない場合はVRが完全に壊れていますが、小さな音が出ている程度でしたら問題はありません。
 この絞りきった時の音量は使用環境や個人差があると思いますが、メーカー側で電源の切り忘れ防止の為、意図的にこうしてあるのではないかと最近では考えるようになりました。
 というのも当時はタンスや棚の上で使うのが普通だったと思います。ましてやレス式ラジオは暗いパイロットにダイアル照明が無いのが普通、ST管ラジオでも日中等明るい時間帯では点灯が確認しづらいのです。
 今まではVR不良と思っていましたが、今更ながらに考えると普通だったのかな〜と・・・推測です。
 しかしながら音量をゼロにしたいのでしたらVRの交換が必要です。SW付でなければナイショの小細工が可能です。


◇回 路 図◇

消えた箇所もあり見にくいのですが、代わり映えのない昭和のラジオ?


<2012.10.21>


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