−市販のケースに組み込んだ自作ラジオ−


自作の6球スパーもどき


 マジックアイ付きの6球スーパーが届きました。6WC5-6D6-76-6ZDH3A-42-80K−6E5Dという構成球です。ケースはコロナというメーカーで柿渋仕上げ、デザインもまずまずだと思います。構造から見て、もうちょっと板厚があればなかなかのものだと思いました。


*届いたコロナの箱*

昭和24年頃のものと思います。


 メーカー製ラジオと比べるといまひとつですが、昔はこのようなラジオケースが単体で売られていたそうです。当時はこういったキャビネットに自分の好みにあったダイアル枠それにシャーシを組み込んでラジオを組み立てたと聞きます。取付の位置合わせにずいぶん苦労したのではないでしょうか。この後にケースキットというのが現れ、メーカー製のラジオみたいに組み立てられるセットがありました。
 箱を眺めてみれば、裏板を固定する桟が外れ、歳月を物語るキズがあります。これらはいつものように補修しました。


さすがに自作品

アマチュアは昔こうやって組み立てた。


 先人が苦労して作られたと思う6球スーパーを眺めてみれば2連VCです。非同調式を増設したのかと思えば、ただAF段に76を増設してあるだけです。ここは増幅率の高い6ZDH3Aがベストで返って歪みが増えるし、逆に6ZDH3Aをほんの軽くドライブさせる程度になるのでは???と悩みつつ悩みに悩んで・・・なんだこりゃ!の世界でした。
ここにCR型とかの音質調整回路でも入っているなら納得できますが、それもありません。ただのAF2段増幅、ゲインを絞った様子もありません。しかし、これは後々こうしたことの理由が分かりました。


配置もなんとなく気に入りません

バリコンも高1用を使ったのか逆回りです。


 トランスの絶縁度はOK、出力トランスの1次断線、バリコンは逆回りでCONVとコイルから離れてあまり好ましくありません。
 修理にあたっては、このシャーシーを使いレイアウトも若干変更、出力トランスは巻き直しと、はたまたやっかいな修理になりそうです。
 問題は6スパのこと・・・・。5スパにしちゃえばとっても簡単、でも穴が1つ余ってみっともない。自分で好き勝手に穴を開けられるならこういうことはないのですが、既製品の定めということで仕方がありません。


◇配置の見直し◇

シャシは全塗装、レイアウトも見直します。

◇整 備 後◇

76も付けて完了!5スパです。


 バリコンは逆回転で調子が悪く交換、ケミコンは移動、ケミコン穴にはチョークを追加、問題の76はどうしましょう?
 と考えているうちにOMさんからこんな提案が・・・「76でマジックアイを90度以上開く回路があります。」と教えていただきました。早速組み込むことにしました。これは確かに90度以上開きますが欠点がありました。それは、余程強い局でない限りピタリと閉じないということでした。というのも76ではパワー不足で仕方のないことだそうです。それでも面白いから、まぁいいか〜ということで組み込んだままにしました。


マジックアイ

 ついていたマジックアイは6E5Dというもので中央が赤く光る格好いいアイです。残念ながら光りませんが、光らなくても中央がルビーみたいに赤く輝き、パイロットランプ代わりに良いのかもしれません。
 見てみれば蛍光部はとても黒ずんでいました。しっかり使い込んだのか、暗くなったものを付けたのか?ジャンクを流用したような、苦労して部品を集めた気配も感じとれます。今みたいに簡単に手にすることができなかった時代・・・。


◇シ ャ シ 裏◇

上手じゃないけどご勘弁!レトロに見えればと・・・・。


 トランスの巻き替えも箱の修理も珍しくも凄いことでもなく、ごく普通の修理みたいな・・・ということで省略しました。しいていうなれば、やっぱり面倒な修理でした。とでも・・・。
 そうそう、忘れるところでしたが、元は低周波2段増幅だった理由。これは付いていたIFTは455KHzでちゃんと同調するしので使えると思っていました。組み立ててみるとローカル局だけしか受信しません。調べてみると性能がかなり落ちています。
 巻き直せば使えると思いますが、仕方がないので手持ちのC型同調に交換しました。
 このラジオに使われていた部品を見てみればあちこちからかき集めた部品のような感じもあります。先人はなんとか調達した調子の悪いIFTを活用しようと76を追加したとすればなんとなく理由も分かるような・・・・本当のところは組み立てた人のみが知るところです。


◇お し ま い の 巻◇

これが昭和24年頃のラジオ・・・レトロ。


 このラジオもオークションで購入されたそうです。私は、基本的に自作品の修理は対象ではありません。こういったラジオは、部品取りとしてなら許されるでしょうが、このラジオはIFTはNGでしたし、真空管の予備として以外にこれといってありません。どちらかというと大外れ品でしょう。
 購入時の注意点として、アマチュアが組み立てたラジオは部品取りと考えて購入すべきで、余程のことがない限り再生は考えない方が無難でしょう。というのも全く新しく組み直すことになり、メーカー製と比べて修理費がもの凄く嵩みますのでご注意下さい。私もアマチュアが組み立てたラジオを沢山(何台か忘れました。半端な数でないことは確かです。)見たり手にしてきました。見事な配線でそのまま使えそうと思ったのは微々たるもので、上物といえるのは0.5%以下といっても過言ではないでしょう。
 と言いつつ頼まれればやってしまう私が居る・・・・疲れた。勿論、今回も全塗装です。


○お ま け○

大好きな輝きなので・・・


<2006.12.31>


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