日立 S−537”リタ”(トランスレス5球スパー)


 かなり以前に入手した日立のトランスレス5球スパーです。裏板も無く、真空管も12AV6以外残っていません。
 気になるのが出力トランス・・線が別に引き出してある。
 更に発熱したらしく、トランス上部のキャビネットが変形している。


◇修 復 前◇

2スピーカーのラジオです。


 レスタイプのラジオは、あまり私の好みではないのですが、このままでは可愛そうなので、簡単な修理をしてみようと思い立った訳ですが・・・


 中を見れば、出力トランスから余分な線が引き出してある。前の持主は、ここから別のスピーカーに配線していた可能性があります。
 当然、出力管、整流管にも負担がかかります。このように、外部スピーカーを取り付けた形跡のラジオはよく見るのですが、最悪な場合は出力トランスが断線していたり、真空管がオシャカになっていることがあります。このラジオは、発熱して煙がも出た形跡があります。トランスに焦げが見えます。
 熱で天板部分が変形しています。最悪、トランスの交換も覚悟です。



電源コードは、切断されている。真空管は12AV6のみ・・・

多分、シールドケースが外せなかったのでしょう。


 修理は、キャビネット(箱)のデコボコの補修です。かなり厚みがありましたので、サンドペーパー#360で、平坦に削ります。その後#1000番で荒仕上げの研磨、その後、鏡面研磨剤を用いました。最終はプラワックスです。



分解ついでに、内部、正面のクリアー・パネルも台所
用洗剤で洗います。かなりホコリが溜まっていました。
掃除だけでも結構見栄えが良くなりました。


 球は殆ど付いていなかったので手持ちの真空管をセットして部品の点検、調整をします。各パーツとも外観上は、しっかりしています。
 調整後、キャビに納めたら、急に音が小さくなり、歪む・・??
 やっぱり・・・・!30A5との結合コンデンサーを交換しておくべきだったと反省・・・、交換したら、素直に音が出ました。レスでも真空管の柔らかい音がします。
 でも、木箱のST管ラジオみたいな音はしません。箱もSPも小さいし仕方のないことです。


 今回の修理は、電気的なものは少なく、箱がメインでした。後に、適当な板で裏板を作りましたが穴が少なかった・・・・。この手のラジオは整流管と音声出力管が相当な熱を発します。普段は見えない裏板とはいえ、放熱を考慮しないと、また変形してしまいます。

<2003.02.18>


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