シャープ SR−280M 5球スパー


 面白いデザインのシャープ製ラジオです。
 調整の依頼を頂いたものですが、持ち主の方がある程度部品を交換し配線も1部手直しされたものです。
 ところがどうも感度が悪いということでした。主な原因は調整不足ですが、最初はアンテナコイルの断線が原因でアンテナコイルを触ると大きな音が出る。とのこと・・・


◇修 理 前◇


空中配線が見受けられます。


 コンデンサーは信頼性の高いものに交換されています。
 また、各所ハンダされていますがどう見ても天ぷらハンダです。ちょっと引っぱるとポロッと外れてしまいました。とりあえず再度ハンダ付け、そしてラグを2個追加して空中配線を撤去します。これで安全です。


 アンテナコイルも固定されていません。純正のコイルは断線、ハニカム巻きで修理はほぼ不可。
 そして、ミズホ製のコイルに交換されたようでしたが、長くてバリコンの下に収まりません。また、ボビンが割れた短いコイルが同梱されていましたのでこれを強力接着剤で修理、乾燥に24時間・・・
 バリコンの下に格納します。こうすることで見栄えも違います。




  調整中バリコンのトリマネジを回していたらプツンと突然受信しなくなりました。
 不思議な現象です。また緩めると鳴り出す?・・・ではonce again!、同じです。バリコンをよく見ると雲母がありません。原因はここにあるはずの雲母がないからショートしてしまったということでした。
 そこでパワーTrの裏に使われる雲母をハサミで切って挟み込みました。

 このランプはちょっとしたアイデア!ゴムブッシュが要りません。
これはホームセンターなどで見かける小学校の電気の実験に使われるものです。サイズがピッタリです。色が・・・といわれる方はコードを変えたり、それらしき色を塗れば古風に見えるかも?


 調整後のSR-280Mです。マジックアイは新品に交換されています。これも勿体ないので少しでも長持ちするようにターゲット電圧を下げました。
 来たときはローカル2局しか受信しなかったものがガンガンと沢山の放送が受信できます。
このようにスーパーは調整が完全でないと本来の性能を発揮しません。マジックアイもちゃんとウインクするようになりました。

修理内容
 1.空中配線2ヵ所・・・・ラグ板を追加
 2.音質調整のC配線・・・・エンパイアチューブを被せて固定
 3.IFT,OSC,VCのトリマ....各調整(感度・周波数)
 4.アンテナコイル交換、バリコン周り再配線、再ハンダ
 5.アンテナ、アース線の交換及び追加
 6.マジックアイのターゲット電圧調整
 7.ツマミのガタ調整、フェルト追加
 8.バリコン・・・・雲母追加(トリマC修理)



 ついでに、ツマミ部のフェルトを作りはめておきました。こうすることによりツマミでパネルを傷つけることもなくなります。



 このセットは裏板が紛失していました。これは自分で作られるということで箱に収めてお送り致しました。
 沢山の放送が受信できるようになったというお知らせをいただきました。

今回の修理は、殆ど調整でした。オッシレータがあれば簡単なことなんです。私も以前は持っていませんでした。今は、この世に1台しかない真空管式のものを使用しています。真空管ラジオには真空管式測定器が似合います。
 この世に1台の真空管式測定器は、ラジオ少年に戻って遊び始めた頃OMさんに作っていただいた2BANDのオッシレーターなのです。感謝です。


◇記念撮影◇

ダイアルパネルに特徴のあるマスクです。なかなかのものと・・・

<2004.11.23>


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