サンヨー SS−138(5球スーパー)


素敵なマスクの5球ースーパーが届きました。
聞こえないので診て下さいというのですが・・・



 早速、箱から取り出して見てみると、なんとも古めかしいルックスです。なんとなく以前手にした外国製のラジオみたいな?
 でも、メーカーはSANYOです。と裏板を外し、中を見てみるとMT管の5球スーパーでした。こういう古めかしいデザインのMT管ラジオは始めて見ました。


○なんともレトロな外観○

古い外国製ラジオみたいな雰囲気が・・・?(整備後)


 最初は、セミ・トランスレスのオート・トランスかとかと思いましたが、6BE6-6BD6-6AV6-6AR5-5MK9の構成なので、これはあり得ません。受信帯は、BCバンドのみです。また、電源トランスは伏せ型ではなく、バンド型でオートトランス式でした。
 こうすることにより、高価な電源トランスのコストダウンが図れるそうです。いわば兼価版で各家庭でセカンド機として購入していただこうと作られたものではないかということでした。そして、昭和29年頃にこんな回路のラジオがあるというのも驚きです。


シャーシ下面(修理前)

やはり、部品劣化・・・


 シャシ裏を見てみれば昔ながらのペーパーコンとL型抵抗です。それとチタン・・・
 これはどう見ても通電は危険です。いつもの普通の整備をしてみました。ただ電源トランスと出力トランスは不良だったのでまき直しと取り替えです。この作業が一番手間でした。
 組み立て後、電源トランスをセットしたらあっけなく受信しましたので調整しておしまいです。


◇貼られていた回路図◇

基本はトランスレスなので、フローティングアース方式です。


 B電圧は低く抑えて180Vでドライブしています。従って6AR5の出力トランスは12KΩで良いということになります。
 このためプレート電流も押さえられ出力は1Wあるかないかというところで、電源トランスの小型化を図ったところでしょうか?安価に仕上げるための工夫だと感じます。
 また、フローティングアース方式が採用されていて感電の心配もありません。勿論、電灯線ANTを付けてもブレーカー(当時はヒューズ?)が落ちないようにコンデンサーでカットしてあります。


◇ばらばらにしました。◇

外せるところは外すというのが基本です。


 整備にあたっては、いつもながらの分解と再塗装です。ばっちい所は綺麗にしませう・・・と思うのは私だけかも?
 リベットはアルミ製だったので簡単に切れました。これが鉄だと固いのなんの!苦労するんです。
 シャシはサビ取り後、また細かなペーパーで仕上げてを塗り、ムラを見つけたら乾燥後に#1000〜#2000のペーパーで仕上げて色づけとなります。これを怠るとみっともなくなります。勿論、ムラがなければ空研ぎをして色づけですが・・・・さびでへこんだところはパテ処理が必要です。


◇シャシ裏(整備後)

ペーパーコンデンサーは交換しました。


 今時のコンデンサーは小型で小さなシャーシに詰め込むのには最適です。小さくなった分すっきりしたと思います。
 感電防止のためフローティングアースとしなければならないので東芝端子を追加してアース母線方式としました。あいにく高等技術など持ち合わせておりませんのでへたくそな配線でご勘弁です。


◇通電試験◇

MT管でもやっぱり良い雰囲気です。


 


整備後の写真


 このラジオは回路図と異なるところがいくつかありました。おまけにトランスは電源と出力トランスがお釈迦になっていて大変苦労したラジオです。
 デザインは古臭く、飾っておくだけでも存在感がある印象を受けました。おそらく珍品に該当するようなラジオだと思います。
 ただ、火災の心配はありませんが、PAとRECTが電源トランスのすぐ近くで、数時間も聞くとトランスがほかほかになるのが気になりました。

<2009.6.13>


【ラジオHome】