これは、よく見かける真空管ラジオだと思います。型番はナショナルAM−390という2スピーカーの2バンド、トランスレスラジオです。
真空管を垂直に挿すタイプのシャシーなのでトランスレスラジオでも古いほうでしょうか。球の構成は12BE6-12BA6-12AV6-30A5-19A9-12ZE6(マジックアイ)です。 |
◇ナショナル AM−390◇
2スピーカーで足が長くて昔のステレオを小さくしたような感じです。
思ったよりホコリも少ないようです。
ケースから長めの足が出ている独特のスタイルですが、このラジオは少年時代に友人が使っていたものと同型で、とても懐かしいラジオです。そんなことから、とりあえず磨いて、働くようにと手を入れてみました。かなり手抜きですが・・・・ |
足の部品が一部無くなっていました。ガラクタ箱から補填です。
通電してみると感度は落ちているものの、受信出来る状態でした。マジックアイは非常に暗くて見えません。そして多めのハム音です。
ケースは天板に数ヵ所の歪みがあるだけでまずまずの状態です。磨き上げるだけで十分と思います。しかし、肝心な足部の部品(メッキのパイプ)が無くなっていました。でも大丈夫なんです。確かなんとも奇妙な?ガラクタ箱に入っていたことを思い出しました。 ホコリは少なめといってもダイアルパネルの内側やSPグリルにしっかり入り込んでいるので、サブパネルまでも分解掃除です。 また、ダイアルパネルには深めの傷がありましたが、サンドペーパーで削った後、研磨して目立たなくしました。 |
◇パネルの分解◇
出来るだけ分解するのです。SPグリルは細かくて大変でした。
キャビネットだけ終了したところ
シャーシはちょっとサビがありましたが、季節は冬・・・寒い!ということで断念というか、出来ないというのか、面倒なので(本音だったりして?)省略。
中身を調べてみると、+Bが83〜87Vでふわふわしています。これはコンデンサーのリークが怪しいので、カプリングとかのコンデンサーなどを交換です。 続いて感度が今ひとつなので再調整となります。ちゃんと調整すると、今度は短いリード線でもガンガン聞こえるようになりました。当たり前ですけど・・・・。 |
◇シャシ裏◇
見た目はしっかりしてますが、ペーパーコンはリークしてました。
コンデンサーのリークで電圧降下していたせいか、殆ど見えなかったマジックアイが、なんとか確認出来るようになりました。+B電圧は87V程度でしたが103Vに上昇しました。まだちょっと低いような・・・ケミコンかな?
次に気になるハム音です。あれこれ調べても不明でしたが、12AV6を交換したらスッキリ!球の不良と判りました。なんでも、この頃のナショナルさんの球はあまり良くないのだとか・・・。そういえばST管の6ZDH3Aでも同じようなことがありました。このときもナショナルさんでした。 |
◇球の交換◇
ハムの原因は球でした。12AV6が悪い子ちゃんです。
ガラクタ箱から球を探し出して使います。理想は新品!(※古い未使用品のこと)を使うと良いのですが、勿体ないのでちゅーこ球を使います。
中古球といってもラジオなら、まだまだバリバリ使える球がありますので大いに活用しましょう。 |
◇不思議な回路?◇
30A5が無負荷になる??
この回路図は一部ですが、イヤフォンを差し込むと連動して出力トランスの1次側をショートするようになっています。
これは、イヤフォンを使うときスピーカーら音が出ないようにする為のものですが、PA管が無負荷状態になるのではないかと疑問が残りました。 この端子は使うこともないし、とりあえずは関係ありませんが気になるところです。また、オリジナルのイヤフォンは見たことがありません。きっとクリスタルイヤフォンだったと思います。 そんな疑問を抱いていましたら「出力トランスをショートしても30A5の負担は3Wそこそこで、最大定格の半分位となり球は大丈夫と思われます。」と教えていただきました。そして「普通では考えつかないような処理」と仰っていました。 しかし、いくら大丈夫といっても、消耗品扱いできない球は勿体なくて出来ません。 |
◇完 了?◇
なかなか良い感じ!だと・・・?
とりあえず働くようになりましたので元通りケースに入れておしまいです。
このラジオは2スピーカーで「WIDE SONIC」とメーカーで位置付けていたようです。当然ですが、モノラルなのでステレオのように立体感や広がりはありません。 そして、流石に真空管の優しい音色ですが、大きな木箱のST管ラジオのように低音の迫力はありません。 懐かしさで手入れをしたラジオですが、今でも記憶にあるのは、友人の家へ遊びに行くと必ず聞きながら遊んでいたこと・・・・・
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<2010.02.10>