National CW−110


 いつものようにノコノコこ出かけると、薄汚れてはいるものの立派な牛革ケースにはいった大きなトランジスターみたいなラジオがありました。おっ、大きなおじさんラジオだ!きっと古いだろう・・・
 古いものが好きな私は、これまた、いつもの調子でこれ頂戴!ってな具合で貰ってきました。持ってみるとトランジスターラジオにしてはちょと重たい感じがありました。
 大きなレトロラジオだしこんなものだろう・・と思いつつハンドバックみたいなケースから取り出して裏蓋を開けると「あれ〜〜?TRとちゃうやん!」普通なら「つまら〜ん」でしょうが、これはちょっと感激です。
 大きな8石くらいのトランジスタかと思えばナショナルの5球式スーパーへテロダインでした。


◇入手時のCW−110◇

SONYのラジオが益々ちっこく見えます。


 さて、これは高圧の乾電池が必要だし、どうやって試そうかと考えると、これって確かAC-DCだったようなことを思い出しました。
 早速試験用のミノムシクリップ付きコードを取り出して接続し、電源SWを入れるとザーザーと聞こえます。そしてローカルに同調して見れば聞こえる聞こえる。煙でも出るのかと思っていましたが壊れていなかったのです。
 外観で惜しいところはダイアル表示の窓に1箇所、熱いものを当てたらしく溶けてへこみ、その周りが膨らんでいることです。膨らんだところは削り落としましたが、1mm以上ある深い溝はなんともなりません。諦めです。


◇ダイアルパネル研磨後◇

へこみはなんとも惜しいところ!


 ダイアルパネルを除けば、他には欠けクラックもなく非常に綺麗な状態です。きっと皮ケースが保護していたんでしょう。
 残念なことに純正の電源コードはなくミノムシのAC電源だと非常に使いにくいラジオです。スーパーOMさんのお話によると、電池管ポータブルはACで使用すると球の寿命が短くなるそうです。
 ならば乾電池で・・・・BL-M15の67.5V乾電池なんてありませ〜〜ん!それじゃ雰囲気を味わう為にヒーターだけ点火!電池管は光りませ〜ん!


◇分解掃除開始◇

スピーカーグリルは点々と錆びていました。


 グリルのサビはみっともないので外して塗装です。こんな変な色はないので色合わせですが、意外とメンドーです。
 分解出来るところは全て外すが基本です。このときに内部のホコリも取り除きます。
 グリルの裏には当時もののセロテープが貼り付けられていました。風化もせず良くも原形を保っていたものです。このテープは貴重かも?(←どこがじゃ!)


◇塗装完了◇

グリルとロゴを元通りにします。


 これでちったー綺麗になったと思います?色がちょっと明るすぎたかな?まぁいいかーこんなもんで・・・
 といい加減ですが、サビが出ているよりはマシなので・・・


◇貼ってあった配線図◇

整流管がない5球スーパーです。


 裏蓋内部に貼り付けてあった回路図です。使われている球は、1AJ4/DF96(RF),1AB6/DK-96(CONV),1AJ4/DF96(IF),1AH5/DAF96(DET,AF),3Y4/DL97(PA)でした。
 5球スーパーですが、高周波1段増幅が付いているので当時は好感度をうたっていたのでしょう。しかし発熱が少ないとはいえ、よくもまぁぴたりと球を並べたものです。


◇真空管の部分◇

4本しか見えませんが奥に1本隠れています。


  中を見てみるとバーアンテナはガタガタしていました。それに球の頭に当時ものの輪ゴムが付いていました。この輪ゴムも古いので貴重品です。←ちゃうっちゅーねん!
 あっ、そぉー・・・。でもなんの為の輪ゴムだろう?と考えるとこれは持ち出すラジオなので衝撃等振動で真空管が抜けないようにするのと、斜めになって擦れるのを防止する為のようです。
 このゴムは緑色の輪ゴムに交換してオリジナル風にしました。生ゴムの色よりは綺麗でしょ?でも球は狭くて抜き差しがとっても大変でした。


◇内部の掃除完了◇

ホコリを払った程度ですけど・・・


 見てみると乾電池はお馴染みのUM-1が1本とBL-M15 67.5という高圧電池が1本必要です。残念ながらお馴染み以外見たこともありません。
 ってことは、ACでちょっと聞いてやっぱりお蔵入り?う〜ん勿体ない!乾電池で働かせてみたいラジオですが、どうしようもありません。ボタン電池を沢山並べようかとも思いますが・・・


◇全  容◇

トランジスターラジオみたいなマスクです。


 パーツは当然ですが、セラミックやソリッド型の小型が使われていました。整流はセレンで小さなブロックが入っています。
 ハムが若干多いのでパンクしているかもしれませんが、一応受信する状態です。また、それよりシャーシを固定するビスは穴ぽこの奥で大変難しく、隙間から懐中電灯を照らしながら何度も何度もチャレンジしました。外すときは簡単で入れるときは非常に苦労するラジオです。
 バーアンテナも当然金具に固定しました。


◇後 ろ 姿◇

欠けもなく綺麗なのですが、悩むラジオです。


 これはBCバンドだけなのでロッドアンテナはありません。電池管ポーターブルで2BANDだと付いているのかも?見たことないけど・・・
 サイズの比較が出来ないと一見TRのおじさんラジオに見えます。でも真空管なのです。なんでも貴重品なので大切に使って下さいということでした。
 しかし、電池もなければACコードも無いしどうやって大切に使おうか悩んだりしてます??


◇付属のケースと記念撮影◇

デザインと色合いはレトロです。


 皮ケースは厚い牛革で出来ています。汚れはありましたが、ほつれもなくかなり良い状態でした。
 ほこりがうっすら被った程度でしたので、多分押し入れの奥の奥に入れられ忘れ去られていたラジオだと思いました。
 こういうラジオは、当時裕福な人達が購入して楽しんでいたそうです。庶民はもっぱら家庭で楽しむラジオしかなく憧れだったとも聞きました。きっと高価なものだったのでしょう。
 え〜と、このラジオって何したのかというと本当に、ただ掃除しただけでした。使いにくいし、勿体ないし、どうしていいのか判らないラジオでした。ただそれだけ・・・
 感度は6石スーパーくらいです。でも、ちょっと悪いかな?同じかな?そんな感じでした。


<2009.11.21>


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