◇ナショナル6S−10(改)◇

【ラジオHome】


 このラジオは、戦前の高1付6球スーパーで超高級ラジオということです。
 修理の依頼を受けました。型名はナショナルの6S−10ということを聞いて、これはまた凄いラジオだろうなと思っていました。ところが中を見ましたら改造ラジオでした。
 オリジナルではないのが残念ではありますが、戦火を生き抜いてきたラジオです。
 せっかくですから、音が出るように修繕することにしました。

*届けられた6S−10*


*シャーシ全容*


*シャーシ裏*


 真空管を見れば6.3V管です。オリジナルは58,2A7,58,2A6,2A5,80で、真空管のソケットに彫られていましす。受信周波数は、550〜1500KHzです。
 ところが、コイルはスター製に交換されています。想像するに530〜1605KHzを受信出来るようにと手を加えたようです。
 先人には申し訳ないですが、見る限りまともに使えたのか疑問だらけのラジオです。コイルの配置も発振コイルとDETコイルが直線上であり干渉しあって好ましいはずがないのですが・・・
 とにかく不思議なラジオです。

○結局、組み替えることにしました○

あまり上手じゃないですが、レトロ風に・・・


 まず驚いたのは電源トランスです。6.3V管に合わせ、巻き直しをしたようでヒーター電圧が無負荷で7.8Vもありました。真空管を全部取り付けて測定すれば下がりますが、6.3Vまでは下がらず7.5Vで止まります。
 このせいでしょうか、真空管は全て駄目になっていました。整流管も死んでいました。310V入力で180Vしか出てきません。エミションが落ちた証拠です。どういう使い方してたんだろうと、ますます疑問が出てきます。
 そして一番の落とし穴がバリコンでした。これは大型の羽が多いタイプで、430PFと信じて疑いませんでしたが、実際に測定してみると340PFでした。
 コイルをQメーターで測定してみると、430PF用です。(これはOMさんに教わりました。便利な機械です。)このまま配線してもとりあえず受信はしますが、高い方か低い方に片寄ってしまいます。これには悩みました。
 340PFとは疑いもせずに、パディングの容量を増やしてみたり、どうこうしているあいだに、OMさんから教えていただき問題箇所はバリコンの容量不足だとやっと分かりました。


バリコンとIFTも交換、シールドケースはマル秘製

ダイアル板も受信周波が広くなったので作り替えました


箱に収めました

 かなり時間を費やしましたが、なんとか終了しました。
主な修理は下記のとおりです。
 �“△虜禿描�、裏板製作
 �▲轡磧璽掘爾虜禿描�、
 ��コイルのシールドケースの製作
 �づ展札肇薀鵐垢隆�き直し(ヒーターのみ)
 �ニ楝痢ΑΑα瓦�作り直し(これが大変でした。)
 さすがに高級品というだけあって、シャーシは丈夫です。サビ取り時に気づきましたが、銅メッキをしてありました。ダイアルメカもちょっと凝っていて糸ではありますが、減速機構は2枚ギアが使われるなど凄いラジオです。オリジナルだったらかなりの代物と思いました。


裏  側 


 もう一つの落とし穴はSPで、出力トランスの1次側が断線していました。ダイナミックスピーカーのフレームに特殊な形のアングルでかしめてあります。
 結局他のトランスが取りつけられないので、出力トランスの1次と2次を巻き替えました。更にボイスコイルは横から見れば何やら黒くてブツブツしている。どうやら焦げたようです。これも分解してボイスコイルを巻き直し・・・た。までは良かったのですが、なんと音が小さい?フールドコイルも導通があるし変です。よくよく調べましたら、1KΩのはずがなんと380Ωほどしかない。
 さすがにこのコイルをまき直す元気もなく、パーマネントSPに交換しました。パイオニア製ですが、ナショナルのマークを印刷して貼り付けておいた。せっかくトランスまで巻き直したのにショックでした。おまけに電源部もやり直し・・・


裏板もなかったので新たに作りました。


 裏板は、長丸を5〜6個縦に開けようと思いましたが、偶然ビクターの戦前の高級ラジオが手に入り裏を見ましたら、横に大きな穴が空いてネットが貼り付けてありました。 
 これの方が渋いかなと思い急遽変更です。四角の大きな穴で中が見えるようにアミを貼り付けました。


完成の図

サランネットも交換しました。同じものは絶対手に入りません。
何となくに合いそうなものを選んで付けるしかありません。


 【作り終えて】
 今回はかなり苦労しました。先人の改造品の中で一番最悪状態のラジオでした。これもオークションで購入されたそうですが、自作ラジオより質が悪い一例です。とにかく音が出たので良かった良かったということで終止符です。
 ご依頼いただいた方から、喜びのメールをいただき苦労した甲斐があり、私も肩の荷がおりました。ご苦労様でした。と自分に・・・おしまい。

<2005.09.05>


【ラジオHome】