ゼネラル 6S−5(5球スパー)


 これは、修理を依頼されたものでゼネラルの昭和26年頃の製品です。キャビネットの傷みも非常に少なく、保存状態はまずまず・・・と思いましたが、中身のサビがちょっと酷い感じです。ということで、このラジオは中身の修理を重点に、箱は状態が良いので磨く程度とすることにしました。
 私の感覚ですとネラルのラジオは、比較的簡単というイメージがありました。というのもキャビネットの作り、そして肝心な内部もしっかりした作りで、整備も比較的簡単というイメージがありました。でも良く出力トランスは断線している事が多かったです。その感覚で取りかかってみれば、そうではありませんでした。


○届いた状態○

大きな扇形ダイアルが印象的です。


 箱はダイアル枠が錆びていたので、外して磨いてみたところ、真鍮のメッキでした。下地が出て調子悪いのでゴールドに塗装することに・・・・・
 中身はST管のマジックアイ付き5球スーパーです。目視して気になるところは、IF段の6D6のソケット。ここだけリベット止めではなくビス止めとなっています。手を加えたのか、ソケットを交換しただけなのか疑問が残ります。残念なことに側面に貼られているはずの回路図は、剥がれて無くなっていますので、オリジナルの回路が分かりません。これが、後々尾を引くことになろうとは・・・・・


シャーシのサビ

箱は綺麗でシャーシがこうだと、恐らく鼠さんの家?


 ここまで錆びると好ましくありません。部品は全部外して全塗装とします。
 この球の配置から想像すると普通のスーパーのような気がします。でも普通じゃなかった・・・・落とし穴がありました。


シャーシ裏(整備前)

鼠さんがコンデンサーをガリゴリしてあります。


 これは、全て配線をやり直さなくてはならないようです。ちなみに鼠は歯を削るために適度な硬さのものを囓る習性があります。その為パラフィン付のコンデンサーは狙われやすいのです。
 このシャーシ裏で気になるのはパディングコンデンサーで、メーカー製にしては珍しいと思います。これは最初からのようですが、「配置がおかしい」と掲示板でご指摘を受けておりました。どう見ても不思議な位置にあることが伺えます。修理前の写真を撮っておいたのでプリントアウトしてよくよく眺めてみると、何か変な事に気づきました。そこで、この元のままの回路を引いてみることにしました。


元の回路図

普通の回路とはちょっと違います。


 まず、CONVとIFのG2がそれぞれ単独に給電されています。通信機タイプだとこれはあり得ます。そして、DET,AF管のところです。AVCの電圧が常にAFに流れ込むようになっています。OMさん達の話しでもこれは絶対におかしいという結論に至りました。想像するに通信機タイプを狙った設計か改造か?オリジナル回路がないので今となっては、この回路は純正なのか改造なのか分からずじまいです。
 結局中身はごく普通の標準型スーパーとしました。勿論パディングコンデンサーも金具を作り、OSCの近くに移動しています。


パディングコンデンサーの位置

OSCの近くがベターです。


 そして、やっぱりこれも出力トランスは断線していました。まき直しは可能ですが、時間がかかるのと面倒なのと・・・同じ規格のものがガラクタ箱にありましたので交換することにしました。交換だけだと簡単ですが、今風の小型トランスは避けました。出来るだけ当時の面影を残したいものです。
 シャーシは部品を全部外し、サビを落として再塗装です。後は説明も要らないくらい普通のラジオの組み立てで終わりましたが、このラジオはゼネラルらしくない疑問が残る不思議なものでした。最後になりましたが、掲示板でいろいろご指摘やアドバイスをいただきましたOMさん方々に感謝を申し上げます。本当に変なラジオ・・・・。


◇完   成◇

◇お ま け◇


<2006.04.11>


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