SHARP 450(4球再生式)


 戦前のドーム形ラジオが届きました。正確にはラヂオ、砲弾形です。3極管の全段トランス結合で、27A−26B−26B−12Fという構成で、一見並四ですが、この時代のラジオは並四とは呼びません。また、真空管ソケットに227−226−226−K112と打ち込まれていたのでオリジナルはナス管かと思いましたが、トランスを見ると27AのA電源にはセンタータップが無くソケットは従来からの在庫品を使ったのではないかなと思いました。勿論、ハムバランサーを使えば227の使用は可能です。ナス管ならば、またひと味違って格好良いかなとも思います。26Bは直熱管でフィラメントの為トランスにはセンタータップが設けられています。最初の26BがAFで次の26BがPAですが、フィラメントが共通給電なのでCR結合は出来ません。AFとPAは低周波トランスで、一端遮断する形にしないと発振してしまいます。


○届けられたときの状態○

残念な事に正面下の袴部分が無くなっています。


 欠損部分はあるものの、なんとも見栄えのするレトロな形ですね〜。頂部は尖っていて大砲の弾の形をしています。修理を依頼された方は、やっと見つけたお気に入りの形だとか・・・・。娘はこのラジオを見て「カエルさんの形をしてな〜い。」と刳り貫きを眺めて言っておりました。よほどカエルさんの刳り貫きが気に入ったようです。机の上に置けるカエルさんラジオを作って〜と言っていましたが、どうやって作ればよいのやら・・・・??
 箱ですが、見たところキズや結合部の開きがあるものの箱としては良い状態です。欠損部は作ることとして、小キズをある程度消し色合わせをすればなんとかなりそうと考えます。


中身は球が4本でサビのおまけ付き

鉄製の頑丈なシャーシです。


 さて、肝心の中身はというとほぼオリジナルかと思います。そして、今回は極力オリジナルにして欲しいということでした。シャシは錆びてはいますが、なんとか使えそうです。
 早速、点検して見るとやっぱり低周波トランスは2個とも断線、1つは他社品に交換されているようです。
 電源トランスは、幸運にも生きていて絶縁値も良好です。


完成の図


 チョークトランスは断線、これは適当に巻き直したところ、直流抵抗約1KΩ、7Hくらいになりました。適当に作ったボビンですが、よくもまあ、こんなにぐるぐると巻いたものだと・・・・電源トランスの手前にちょこんと見えるのがチョークトランスです。中央の四角いのは低周波トランスで、オリジナルのカバーだけを使い「ラジオ少年」の低周波トランスを組み込んであります。このトランスは思ったより高性能みたいです。シャシ裏にも、もう1個取りつけました。


シャーシ裏(整備前)

シャーシ裏(整備後)

ちょっとの小細工でレトロかな?


 回路図は、OMさんが参考にと送ってくれました。感謝です。部品の数はトランス結合のため少なく簡単ですが、異常発振しないように適所のアースなど注意が必要です。
 使ったコンデンサーは時代に似合わないので紙を巻いてそれらしくレトロ調に見えればいいなと・・・・。こんなことしても、余程のことがない限りシャシ裏など見ることもありませんね。好きな人にしか分からない自己満足ということで・・・


心配だった26B

黒くなって寿命かもと思いました。


 やっぱり昔のラジオ、スピーカーもマグネチックスピーカーです。このスピーカーから流れる音は時代を感じます。決して良い音とはいえません。中高音のみが強調され不思議な音です。それでも柔らかい優しい音・・・・・
 このスピーカーも例外ではなくコイルが切れていました。そして馬蹄磁石が少し弱くなっています。磁力が弱いということは音が小さい訳で心配でしたが、再塗装後、コイルを巻き直してから取りつけてみれば想像していたより、大きな音がしましたのでとりあえず安心です。


箱の再仕上げ

袴部分を作って再塗装です。


 そして、もう一つ心配だったのがナショナルの26Bで、頭の部分が黒く焼けています。もしかしたら寿命かもしれないと思いつつ作業を進めました。この球は手持ちがないので、駄目なら6V管の76とかに交換するしかありません。本体完成後、通電してみれば受信しましたのでとりあえず安心でした。
 球を挿して試験時のトラブルといえば、12Fのフィラメントが灯りませんでした。これは、断線ではなくベース部のハンダ不良、再ハンダで無事点灯です。そして、同調してみればちゃんと受信したのでOKかと思えば・・・あれ?ミゼットバリコンを回しても再生が掛からない!
 う〜ん?変だなぁ〜・・・。ミゼットの片側はちゃんとアースされてるし、反対は再生コイルにつながって、その先に・・・あれ?コンデンサーがない!27Aのプレートにつながっていないや〜。原因判明で無事解決という笑い話でした。
 このコイルはゆるんでいましたので再度まき直しをしました。ボビンの内側に再生コイルが入っているタイプでした。


中身を入れて・・・

やっと完成です。慣れない方には使いにくいかもしれません。


<2006.04.13>


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