TENのカーラジオの整備


 このカーラジオは、物置の壁の隙間に挟まっていたのを見つけました。子供の頃、鉄くず屋さんから頂いてきたTENのカーラジオだったと記憶しています。
 曲がったロッドアンテナを窓の外に縛り付けてびょんと延ばし、古いバッテリーで聞いて遊んでいたと思いました。
 このラジオは自動車用であり、電源は家庭用のコンセントからという訳にいきません。その頃は、比重の落ちたオンボロバッテリーを父から貰い使っていました。しかし、消耗も著しくその度に充電して使っていました。充電していると泡がポコポコ・・・そのままラジオを聞くとブゥ〜ンとハム音がしました。


トヨタのカローラクラスに付いていたラジオ?

黒いボタンは周波数記憶装置?


 これもちょっと遊んだだけ、というのもバッテリーが駄目だったからです。安定化電源など持っているわけでもなくどうしようもなかった時代でした。仕組みも知らないし・・・。しかし、ボリュームのところに入力端子をつければアンプの代わりになることくらいは分かっていたのか、ジャックをつけて遊んだ記憶もあります。
 さて、中身を見てみれば懐かしい基板が目に留まります。オールゲルマニュームトランジスターでミュー同調式、高周波1段増幅なので感度も良いわけです。


中身は・・・

懐かしい基板


 長いこと倉庫の片隅に置き去られたカーラジオは、ホコリまみれでした。とりあえず掃除をします。
 分解掃除をしながら思いましたが、このラジオは車の中に設置されるものです。振動、更に夏場の温度や湿気を考えるとものすごい丈夫なラジオといえます。勿論、受信の安定度も要求されると思います。


整備といっても・・・

分解掃除、パネル面を綺麗にしてみました。


 整備といっても掃除とヒューズの交換、VRのガリ補修と調整程度のものです。昔のラジオは接続端子もギボシ端子で電源やSPが簡単に取りつけられます。今のようにメーカー毎にコネクター形状が違うなんてことがなかったようです。この頃のカーラジオって真空管ほどではありませんが、何処か優しい柔らかい音がしました。
 これもちょっぴり楽しんでお蔵入りしました。


ミュー同調部

バリコンだと振動に弱いからかな?


 カーラジオに要求されるのはとにかく丈夫であること、そして操作が簡単なこと、外部の騒音に負けないくらいの音が出ることでしょうか。
 その昔は真空管式があったそうな・・・。トランジスターと比べると熱とか振動それにメンテナンスも考えると、設計者はこれらの条件を満たすために、相当の苦労を強いられたのではないかと想像します。


<2006.08.30 再掲>


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