れとろな5すぱを作ろう


 シャーシの後ろから見たスタイルがとってもレトロに見えるラジオを計画してみました。このスタイルは以前にも作りましたが、自分でもお気に入りのスタイルでしょうか、もう1度作ってみたいと思います。レトロに見えるのはシールドケースを使わないで仕切板にした為だと思います。後ろから見るとIFTも隠れてなんとなく好都合・・・高1風に見えたらいいかな?


こういう眺めはなんとも良いものです。

私はこのオレンジ色の灯りがなんとも好きなんです。


 じつのところ、これは中身が空っぽの箱だけでしたが「なんとか音が出るようになりませんか。」とご相談をいただいたものです。また、真空管も予備として12F−6ZP1−6ZDH3A−6D6−6WC5の5本、それとジャンクラジオのシャーシ・SPをお持ちでしたので、それらを利用することにしました。
 見たところ箱はドーム形から、箱形に変わるときのようです。珍しいということもありますが、なんとかしたい素敵な箱です。古いものなのでピカピカにしてもまたおかしなものですが、目標は真空管のラジオにすることと出来るだけ安価に製作するというものです。とはいっても箱に似合った中身にしたいもの、MT管は避けました。


とても魅力的な外観です。

当時はきっとラジオなんて庶民には手の届かないもの・・・と?


 箱が届いたので、早速眺めてみるとやっぱりあちらこちらに欠損部や痛みがあります。それらしく補修すれば少しは見栄えがする訳で・・・
 しかし、戦前の箱ですから、当然あちらこちらに痛みがあって当たり前です。繋ぎ目が割れたり外れたり、、傷は仕方ないものといえばそうでしょうが、ある程度消して時代的な雰囲気も残したいもの・・・・サンダーで削り落とせば傷は消すことが出来ますが、こういう骨董品が好きな私にしてみれば、時代的情緒が無くなってしまうのも寂しいと感じますが・・・・。
 各所の擦り傷は年月を物語る勲章みたいなもの、天部の隙間とか下部の飾り縁の欠損は忍びがたいものです。これらをいつものように補修することにしました。


     よくよく眺めてみれば・・・  木桟ががずれて浮いています。これは接着剤で固定します。

 下部に見えるシャーシは寸法を合わせて自作したものです。

 

 
     天部の繋ぎ目の割れです。 これは、簡単に修理出来そうかな??

  化粧の袴部分が欠損しています。これはなんとかしなくてはみっともありません。なんとしましょう???です。

 


破損した部分を外して新たに製作



 古風なラジオには良く化粧縁が付いています。化粧材が無いと見た目にも非常に不味いので、新たに削って加工しました。額縁のように削るのはちょっと大変ですが、これに同色塗装をすれば簡単なことです。


 ST管を使えばもうこれだけで十分レトロなんですが、この箱に似合う内部といえば、高一か並四でしょう。それも2.5Vとか5V管です。ナス管でしたら文句なしというところですが、それらのパーツを揃えるには大変な苦労と費用を要することでしょう。
 また、中身を当時のもの風にした再生式と考えると、これは使い慣れない方にとってどうなんでしょう?選局に苦労するだろうし、音量調整も難しいと思われます。ピー、ギャーの発信音を勘違いして壊れている。なんて思うかもしれません。そこで今回もやっぱり、だれでも使い易い標準型の5球スーパーとした訳です。


シーャシに仮組をしたところです。


 前回は仕切版が少し小さめだったので、今回は少し大きめにしました。これにより6D6のシールド効果は出たようで発振はありませんでした。
 スピーカーはパーマネント、本当はマグネチックにしたいところですが、別途購入しなければなりません。安価にするために支給されたSPをあえて使うことにしました。
 出力トランスは、1次側、2次側共リード線式のものが手持ちにありましたので、コアバンドにちょっと細工をして端子式としました。こうすることにより配線も容易に行えます。


シャシ裏

ベークとハトメ端子で作った端子板


 中身もレトロに・・・こういうラジオにカラー抵抗やセラミックは似合わない気がします。普段、ここは見ることがないので気にすることもありませんが、やっぱり・・・・・・
 電源トランスも古風なものにしたいと考えます。しかし、一番古そうなトランスは、OKIのものしか手持ちにありません。ダイナミックSP用らしく、B電圧は320Vと高いので、普通に使えません。抵抗でドロップするのもつまらない・・・面倒ですが2次巻線をほどくことにしました。ところが残念、B電圧は良かったのですが、ヒーターの電圧が6.78Vと0.5Vほど高く出ていました。大丈夫といえばそうかもしれませんが、今更どうしようもないのでホーロー抵抗を入れてドロップすることにしました。抵抗値は0.3Ωです。もしかしたらこのトランスは42を使ったセット用だったのかも?


後面から

裏板も前と同じようにくり抜いて網を貼りました。


 今回、学んだ点はIFTでC同調形を使ったところ発振に大変悩まされました。それは、IFTが決まった周波数で発信してしまったことです。OMさんのアドバイスでは、内部のトリマーの不良が一番怪しいそうです。分解して中身を見てみましたが、簡単に交換できるものでもありません。諦めてミュー同調形に変更しました。
 おかしなもので、6WC5にシールドケースを取りつけたら発振は大夫おさまりました。このトラブルでIFT等のレイアウトをいろいろ試して強制的に止めるのも一つの方法でしょうか。しかし今回はそうも行かず断念したところです。アドバイスを頂きましたOMさん方々にお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

ところで、安価に・・いくらで出来上がったのでしょう??

<2006.02.17>


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