SONY 2R−21


 もうかなり以前に手に入ったSONYの小さなラジオです。70x76x33mm(ツマミ含まず)というサイズに8石も詰め込んだ小型のラジオです。
 この頃は、まだICチップも一般的でなく、これだけ詰め込むのには相当苦労したと思います。ボディーカラーも数種揃えデザインラジオとして売られていたような可愛いラジオです。


 発売は、昭和40年代中頃なので40年くらい前のものになります。
 状態は、やっぱり液漏れでSPのサビそれに006Pのスナップが壊れていました。整備といっても、殆どが外観で、ケースのクラックや欠けの補修です。
 分解は、サビ取りの為SPを外す必要がありますが、接着剤で前側からの固定のタイプなので簡単に外れません。ここは、ナイフで接着剤を切ってやっと外すことが出来ました。


◇グリルまでサビたラジオ◇

電池の液漏れは悪さをします。


 この程度のラジオは大したSPが使われていません。取り替えようと思いましたが、手持ちの同じ口径はマグネットが大きくセットできません。諦めてサビ取りと塗装で処理しました。SONYの文字は残すことに・・・・
 このようなものですから出てくる音は想像できると思いますが、偶にはこんな音を聞くのも懐かしくて良いのかもしれません。それでも外部SPにつなぐとコロッと音が変わります。


◇内部の様子◇

流石に小型を目指したSONYの造り


 8石もあるのでRF付きと?思いましたが、6石スーパーと比べるとIFとAF段が増えているようです。非同調RFかも?
 また、PAはゲルマタイプが使われイントラ、アウトプット・トランスの良く見るタイプのラジオです。
 特徴というと「小型」というくらいかな?この時代によくもまあ詰め込んだものです。


◇基板の表と裏◇

立派にプリーを使ったTUNE構造


 小型なのでポリVCにツマミが直接かと思っていましたが、ちゃんとプリーを使った設計に驚きです。しかし操作時の感触は、直結タイプと相違ないみたいなんですけど・・・・
 操作ノブは、VRと仲良く並んでいて限界まで離して取り付けられています。回路や構造上からは左右が理想ですが、デザイン優先といったところでしょうか。


◇分解掃除後◇

サビ取り、入浴、再塗装をしました。


 外せるところは全て外し、お風呂に入ってさっぱりしたところで、今度はお化粧?錆びてみっともないところは再塗装です。
 これを元どおりに組み立てればおしまい!あっ調整もありました。これは、電池スナップを交換すれば作動しますが、年数が経っていることから周波数は、ずれて感度も低下していることが予想されます。


◇スナップ交換◇

電池スナップは特注?オリジナルは中央


 オリジナルのスナップにはSONYのロゴが入っていました。残念ながら入手不可です。
 最初は、普通の横出しスナップを付けてみましたが、なんと数mm大きいのです。おまけにリード線は横出しのため邪魔になります。
 この程度の事でと思いますが、オリジナルを使わないと裏蓋が閉まりません。電池のスペースは全く余裕が無いような作りになっています。
 オリジナルのスナップは壊れてるし・・・まいったな〜〜〜


◇電池スナップ修理◇

応急処置?


 スナップは見たところ表面のビニールを取り除けば小型になるので最悪の場合は剥き出しで・・・
 と思いましたが、他のを外して取り付けてみました。そのままでは、直ぐに外れるのでハンダで応急処置をしてみたところ十分使えそうです。
 これで電池を入れて蓋も閉まるようになりました。しかし、電池の巾はどう見ても本体から、はみ出すのです。奥行きが足りない?!


◇大きさの割に大きな銘板◇

紛失していたのでステッカーを作成


 銘板ステッカーを作ってみればなにか変です。ここのステッカーを作れば良いものばかりと思っていましたが、異様に大きな銘板は後部に飛び出したキャップ状の蓋だったようです。
 なるほど!この穴から電池がはみ出すようになっているんだと判りました。これはどうも完全に設計ミス?裏板の厚さ分小さく図面を引いたような感じです。もう1mm奥行きがあればビシッと収まったハズです。
 仕方ないので0.3tのアルミを曲げてキャップ状にしてステッカーを貼り付けました。


◇裏板の電池スペース◇

テーパー状になっているのが分かります。


 この裏板のスペースにちゃんと電池が収まらないと裏板が閉まりません。
 これは、電池をきちんとセットしなかったのか、ここの銘板が中から押されて取れてしまったのではないかと思います。
 ケースの鋳型は結構なコストがかかるので、切り抜きを追加して再使用し、このままラインを流したのかと思われるようなお粗末な作りです。まるで設計ミスのような・・・・?
 後に、マイナーチェンジ等で厚みが増したかもしれませんが、これが世界のSONYの作りなのです?昔のことだけど、呆れちゃったりして・・・・


◇完  成◇

調整も簡単!


 調整はIFTとOSCだけなので慣れている方ならものの数分で終わると思います。案の定経年変化で感度低下と周波数がこけていました。
 SONYさんが小型に仕上げようとぎゅうぎゅうに詰め込んだラジオですが、やはり無理があったようです。どこかというと構造的なものでケースです。
 というのも裏蓋の爪が入る本体側の受け部分は1mmあるかないかの厚みです。電池交換の際は、おそらくコインかドライバーを使い底面のミゾから裏板をこじ開ける方が殆どだと思います。
 つまり、天側に力が加わり・・・パリッ!これ当たり前!キットだってもうちょっと丈夫な造りなのに、こういう事を想像もしなかったんでょうかね〜?厚くするとか、基板にステーを付けてネジ止めにするとか?
 でも、それなりに作ると今度はコストに・・・?それか取扱説明書に「これは、とってもデリケートで割れやすいので慎重に裏蓋を外して電池は寸分の狂いがないように合わせて交換して下さい。」と書かれていたのかもしれません。
 流石にSONYさんらしい造り!ただ小さくすれば良いというものでもあるまいに・・・・ちょっとSONYさんを見る目が変わちゃったりしたラジオでした。
 それでも可愛らしく仕上げたラジオだと思います。


◇オヤブンと記念撮影◇

すごくちっちゃなラジオ!可愛いのであります。


<2008.11.06>


【ラジオHome】