東芝 IC−70

ICを搭載した小型ラジオとして70年代に東芝
から売り出されたラジオだったと記憶します。


 横長のスマートなデザインでちょっと格好がいいものですが、今となっては、時代を感じさせるレトロな部類に入ってしまうのでしょうか。
 このラジオは、当時広告などでよく見かけました。これといって特に欲しいといった印象はなかったのですが、今でもこのスタイルは記憶に残っています。

○スマートな外観○

当時としては斬新なデザインだったかもしれない


 現物を手にしたのは初めてです。しかし、ケースは各所に割れ、欠損がありました。また、ありがたいことに電池もサービスで付属していたので、電池ケースもすごい錆びでした。
 このサビを除去するのに結構、時間を費やしてしまいました。このように乾電池の液漏れをした古いTrラジオは、手入れが大変です。完全に取れないということと、下手すると基板まで駄目になっていることがあります。
 ツマミ等外装パーツ等の流用目的以外は、液漏れラジオには手を出さない方が安全だと思います。


○内   部○

ロッドANTにコイルが付けられています。
これは前オーナーの改造だと思います。


 蓋を開け、眺めてみるとICが見あたりません。それもそのはず、下側に見える四角い金属板の下に隠れていました。金属板でシールドされているようです。
 また、基板を良く見てみるとIFTのコアを触った形跡があります。これは、コアのペイントが剥がれていたのですぐに判りました。
 これだけ剥がれているのはちょっと怪しい雰囲気、いやな予感がします。多分無茶苦茶触ったのではないかと想像します。


○予感的中○

無闇に調整された基板と壊されたトリマーのポリ


 やっぱりいやな予感が的中です。黄色のコアなどは、一番最下部まで締められています。
 どうしてなのかわかりません。とりあえず他の所もチェックしてみます。すると、VCにパラ接続されている調整用のトリマーが1つ全開していました。
 良く見ると、挟まっているはずのポリがありません。更に、このトリマー群の横にくしゃくしゃになったビニールのようなものが挟まっていました。
 想像するに、感度を上げようとして回しているうちに破損してしまったのだろうと考えられます。メーカーで完全調整してあるので狂うはずないのにおかしな事をするものだと思いました。
 仕方がないので、ポリを丸く切ってなんとか挟み込みました。容量は完全に外さないと測定できませんので、応急処置みたいなものです。実際は少し入ったところで調整がとれました。
 トリマーは上からAMのOSC,そしてANT調整用です。下はFMのOSCとANTとなります。


○無事作動○


整備完了:横に操作部が配置される。バンド切り替えは裏側にあります。
立てて聞くためのスタンドもついています。


 聞いてみるとサイズのわりに落ち着いた音がしました。デスクラジオ、ベットラジオには良いと思います。流石東芝さんだと思います。
 当時は、これで深夜放送を聞きながら受験勉強をされた方もいたのではないかと思います。

 一通り簡単に整備しましたが、ケースのクラックなど現状考えると、強度的に劣るので室内で聞くか、コレクションぐらいでしょう。かなりの擦り傷もあり、しっかり使われたものと察します。

<2005.03.10>


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