SONY ICF−S5


 SONYの愛称「ザ・感度」というラジオです。ちょっと、いや、だいぶかな?擦り傷やへこみ等のダメージのある「ポンコツラジオ」です。
 見たところ、大きさなどちょっぴり好みの感じですが、ダメージもあるしどうしようかなー?と悩んだラジオです。
 それでもNBSやら外部アンテナ端子など付いていて、なんとなく良さそうな雰囲気がしました。なんとなくです・・・。とりあえずかわいそうなので貰ってくることにしました。


 発売は、昭和57年頃でFM/AM/NSBが受信できます。NSBは水晶により安定した受信ができます。
 構成は1-IC、3FET、12Tr、10Diというもの、FM/AMはポリバリコンです。寸法は約W224×H162×D59というおじさんが好むベストサイズ?非常に良い感じなんです。個人的ですが・・・・


◇ダメージは別としてなかなかのスタイル◇

手荒な扱いを受けたのかな?だとすれば可愛そうであります。

「ザ・感度」のマークかな?このシリーズに付いています。


 このラジオの特徴としては、なんといってもドラム式切替によるエリアの放送局表示です。このドラムを回しても何も変化はありません。ただの表示切り替えです。そして、遠近切替かな?
 持ち帰ってテストしてみると受信しますが、時折、音声がプツンと切れます。おかしいなと揺すると聞こえたり聞こえなかったりします。う〜ん、真空管時代のテレビのような?
 おかしいなと、中を見てみると流石に真空管はありません。これあたりまえ!


◇内部の基盤◇

中身は意外と空っぽです。


 メンテのしにくい2階建て基盤が目に留まります。この上になっている部分がAF部の基盤です。
 AF基盤には、ガリの出やすいスライドボリュームが付いています。幸いにもこのラジオにガリはありませんでした。(ここで云うガリは、お寿司屋さんのガリのことじゃありませんのでお間違えのないように・・・)
 それでも綿埃が酷い状態であり、念のため綿棒で掃除はしておきました。では何故ガリが出やすいかというと、このラジオに使われているスライドボリュームは抵抗帯が剥き出しで、ろくにカバーも被っていないからです。言い換えれば掃除しやすいということですが、基盤を取り出すのは慣れないと一苦労すると思います。


◇音が出なかったりする訳◇

犯人はここだ!出力トランスが浮いていました。


 とりあえず受信はした為、原因はAF部と判りましたが、さてAFのどれが犯人?とあれこれ触ってみました。
 あったあった!これじゃ音は出ませんね。なんと出力トランスの半田付け不良でした。それもゴム系の接着剤で固めてあるものです。
 再半田は困難な場所で、周りのコンデンサを数個外して行いました。基盤の余計な半田を除去し再半田で完了です。
 これといった測定器も必要とせず、簡単な事でしたが、出力トランスの半田が外れているとはなんとも珍しいやら、信じられないやら・・・・です。こんなの初めてでした。


◇基 盤◇

2階建てです。スライドボリュームも見えます。


 簡単な整備も終わったところでまた基盤等を元に戻しますが、その前に入れ物はお風呂でゴシゴシ、SPグリルは外して再塗装しました。いつものことですが・・・
 BCバンド(AM)のダイアルスケールは色が違うのがお分かりかと思います。冒頭でも述べましたが、これが回転します。最初のうちは意味もなく回転させて遊びたくなります。カチャカチャと・・・
 でも感度とかは何も変化がありません。回して遊ぶだけです。


◇ダイアルスケール部◇

指示針には小さな緑と赤の発光ダイオードが組み込まれています。


 チューニングはスムーズで、放送局に合うと緑から赤に変わる構造になっています。これも面白いと思いました。
 ロングスケールも特徴でしょうか、大変見やすくなっています。


◇同調したところ◇

見事に光るLED


 好みはアナログメーターですが、この頃のラジオになると殆どがLEDで同調点を表示するか、セグメントで電波の強さを表示するようになっていきました。
 まぁ、これも面白いから良いのかなと・・・?
 中を見るとバーアンテナが斜めに取り付けられていますが、少しでもコアーを長くする為の細工でしょうか、意図的に斜めのようです。


◇裏板を外したところ◇

スピーカーもバネで固定するだけと簡単になっています。


 分解は思ったより簡単で、基盤やメカ部をはめ込んで1本のネジで固定されていました。
 ただ、これらを外す為にはNBSの切替SWを外す必要があります。ここには小さなバネとベアリングが付いていますので無くさないようにしなければなりません。
 そして取り付けるときは要領が要ります。凄く簡単ですが・・・・・


◇ラジオの特徴◇

なんといってもエリアの表示切替それにNBS


 他の短波放送を楽しむことは出来ませんが、NBSは水晶発振による安定した受信が可能です。
 中波においても感度が良く中波の遠距離受信が楽しめます。これは何処の放送局だろうとエリア表示を切り換えて探ってみるのも楽しいかもしれません。


◇ケース付き◇

野外に持ち出す時は、こういうケースが保護に役立ちます。


 レザーケースが付いていたのでいただいてきたものですが、ケースが汚れていたため洗ったら一部縮んでしまいました。
 縮んだところは裏地ですが、どうやら毛糸洗い用の洗剤じゃないと駄目だったようです。縮んだが最後もう元には戻りません。残念でした〜!おしまい・・・


<2010.07.22>


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