National RX−F40 旅カセ


 昭和58年頃の製品らしいので、かれこれ20数年前のものになります。丁度SONYのウォークマンが市場を賑わしていた頃だと思いますが、これはヘッドフォン専用ではなく小型のステレオラジカセです。


 こんなものといっては失礼かもしれませんが、カセットとFM/AMが楽しめて、小型となると思い浮かぶのは寝室用とか、名前のとおり、ちょっと持ち歩いて旅先でお気に入りのテープを聴くというのに最適かもしれません。
 しかし、今では「ipod」というデジタルになってしまいました。それでもやっぱり、古き良き時代のアナログを楽しむのも良いと思います。


◇スッキリしたデザイン◇

愛称は「旅カセ」片面録再でオートリバース機能はありません。


 カセットを聴きながら寝ても片面でオートストップ機能が働き、朝まで音楽が流れているということはありません。
 しかし、残念ながらテープによるタイマー機能はありません。これがないのでラジオは朝まで流れています。


◇基 板 裏◇

小さなチップ抵抗がいっぱい付いてました。


 今のところ基板は幸いにもなんともありません。本機は、落としたものらしく、カセットメカのトラブルでした。
 まず、ポーズボタンが押せません。そしてベルトが滑っていました。更に振ってみるとカラコロ音がするので、調べてみるとちっちゃなバネでした。
 ベルトは交換するだけですが、このバネは何処に付いていたのか調べなくてはなりません。なんとも厄介なバネちゃんです。


◇内部メカの様子◇

う〜〜ん??何処のバネだろと・・・


 とりあえずポーズの引っかかりを直してボタンが効くようになりました。
 続いてベルト交換ですが、これがなんとも厄介です。交換はメカごとのアセンブリーのような感じで、フライホイールの金具だけ外しても交換できません。
 仕方ないので操作ボタンのメカ部を潜らせ、やっと交換出来ました。この時、メカのグリスがベルトに付着しないように行わなければならず一苦労でした。
 交換が終わったら、続けて回転の確認です。これで正常に動くようになれば、各ボタン動作の確認ですが、調べてみると再生、録音、早送り、巻き戻し、イジェクト、STOPはOKとなりました。
 ところが、再生中ポーズを押すと最初の1回は止まりますが、解除するとケロケロ音になってしまいます。
 どうも、ロックアームの戻りが悪い?となれば、ちっちゃなバネはこの関係と解りました。


◇作動試験中◇

とりあえず使えそうな感じ・・・・


 バネはアームに引っかけて再度ボタンの確認をしてみると今度はOK!オートストップもバッチリです。これで安心して使えるようになりました。
 上部写真の赤いプラスチック片は、落として割れたケース部分です。これは、プラモデル用の接着材を使い固定しました。ベルトはもう1本用意したちょっと径の違うスペアーです。さて、残すはケースに納めるだけとなりました。
 こうして眺めてみると、左右に付いている平面スピーカーが面白く、今時のシャカシャカ音でもないので、まだ聞きやすいと思います。


◇ちらりとチューナー部◇

白い丸はポリVCのプリーです。


 中身は殆どICチップで構成されています。電池は単3が4本なので、消耗を考えると出力も少ないと思います。
 基板は、正常だと思っていましたが、ケースに収めて2日目にRCh からシャーというノイズが発生し始めました。
 チップ抵抗は数理が記入されていないタイプでなんともこれは・・・という感じです。それでも調べてみると低周波増幅段から発していることが分かりました。チップが逝かれた?
 と思いましたが、どうも発振寸前のような?アンビエンスポジションのみ発生するのです。このエフェクターの発振を弱めれば良いのでコンデンサーでとりあえず押さえ込むことにしました。
 AMは感度良好ですが、FMはステレオで強電界地域でないとちょっと厳しい感じを受けます。でもどちらかというとカセット重視で作られているように感じます。


◇モーター部◇

小さなDCモーター


 モーター下部に見える半固定VRは、回転トルクを調整してスピードを調整するところです。
 機種によっては、モーターのケース内に組み込まれているものがあります。このように調整し易いところに付いているのはありがたい事です。


◇平面スピーカーの後◇

マグネットがセンターじゃない?


 小型なので問題ないのかな?と・・・・。普通はセンターにあるはずのマグネットがずれています。
 しかし、重低音を発する事もないし問題ないようです。こうしてセンターをずらしてあるのは、意図的で右はチューナー部、左はモーターが当たるからです。おそらく特別に設計されたSPでしょう。インピーダンスは、6Ωとなっていました。


◇ヘッドまわり◇

メタル対応となっています。


 流石にドルビーはありませんが、ヘッドはAXアモルファスヘッドというのが使われていました。
 今回は、機械的なメカニズムのみで、電気回路のトラブルは余りありませんでした。元の姿が全く分からなかったので探すのに苦労しましたが、各操作ボタンも正常に作動し、十分使えるようになりました。
 電子回路は正常でちょっとしたメカのトラブル使えないのは面白くありません。整備は大変ですが、こういったものもまた楽しいものです。

 某サイトでこんなスペックだと分かりました。
 FMワイドバンド/FMステレオ放送の録音再生可能
 周波数範囲:FM/60-90MHz
 実用最大出力400mW×2 最大600mW×2
 DC6V(単三電池AA×4)、またはACアダプターRD-9436
 最大外形寸法: 190(W)×96(H)×36(D)mm
 本体重量(電池含む): 695g
 1983年当時標準価格:\39,800
 当時は、ウォークマンとか、こういう機器は全く興味がありませんでしたが、結構なお値段で驚きました。


◇RX-F3 ラブコールと記念撮影◇

共にナショナルブランドです。


 ついでなのでこのRX-F3をちょっと・・・・
 これもベルトの交換のみで、まともに働くようになりました。愛称は「ラブコール」というそうです。使われているSPは3Ωでホワイトコーンです。
 マグネットはコーンのサイズくらいありそうで強力みたいな感じを受けます。


◇RX-F3のSPユニット裏◇

非常に大きなマグネットが採用されています。


 音色はというと変な表現ですが、カドのない丸みがあるような感じ、名前のとおり愛のささやき?柔らかくやさしい音色と感じました。RX-F40とは月とスッポン!BGMで軽く流すなら絶対聞きやすいラジカセだと思います。
 また、高さがなく横に長いスタイルで安定感があり使い勝手も良さそうです。寝室ラジオならこれが良いかな〜?と・・・


◇RX-F3の内部◇

調整VRも斜めに配置されてちょっとお洒落のような?


 右側がチューナー部、左がアンプ部となっています。これも殆どICチップによる構成です。
 上記のRX-F40より大きくベルト交換も容易な構造でした。小形化が進んでいますが、やはりメンテナンスを考えるとこのくらいのサイズが一番よいと感じます。アマチュアには・・・


<2009.06.13>


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