STANDARD SRQ−103


 何気なしに頂いてきたSTANDARDの大変古いトランジスターラジオです。
 しかし、ロッドアンテナは1段目(根本部分)しかなく、電池の液漏れもあって薄汚れたラジオでした。


 基盤を眺めてみると3連バリコンが採用されています。なんと高周波増幅が付いた高級タイプのラジオでした。
 また、何石かな?と見てみると8石1ダイオードで、使われているトランジスターが日立の扁平型が数個付いています。今時こんなトランジスターは珍しいので例え壊れていても保管しておくのがベストと思っていました。どうせ古いし、壊れているだろうと・・・・
 ところが、「数十年も昔の機械が動作するだけでもラッキー!少々の欠品や故障など贅沢を言っちゃ駄目です。」となにやら聞こえてきます。それじゃ少し手を入れてみようかなと整備をしてみることにしました。


◇薄汚れたSTANDARDのラジオ◇

ロッドアンテナも根本だけ・・・惜しいところ

3連バリコンに黒い扁平トランジスターが付いています。


 扁平トランジスターは、2SA○○や、2SB○○に統一されるまでは、メーカーによっていろいろで、日立が2S○○やHJ○○、TENが2NJ、NECがTJ○○とST○○、松下がMC○○、SONYが2T○○だったと教えていただきました。
 さて、汚れたケースは洗えばなんとかなりますが問題は内部です。なんと言っても一番嫌な電池の液漏れ!これはもの凄い悪さをするのです。バリコンの固定金具やスライドSWもしっかりやられていました。


◇基盤類を取り出し◇

金具がしっかりやられていました。


 この金具は、面倒ですが、分解して取り外してサビ取り、研磨で再塗装としました。何ら手を入れないとサビがもっと浸透して朽ち果ててしまうからです。
 金属の大敵は塩に酸でしょうか。これが金属に付着するとじわりじわりと広がってボロボロになります。これを防止する為、塗装処理をして空気に触れないよう表面を覆ってしまう訳です。


◇入れ物の掃除◇

外せるところは外すが基本です。

お風呂に入れて綺麗さっぱり!


 長年の垢をお風呂で落とします。長い歳月に蓄積された汚れにホコリは凄いもので水が真っ黒になりました。
 ダイアルゲージ下のモールはラッキーなことにメッキ仕上げでなく無垢の真鍮でした。これは研磨するとピカピカになります。その代わり手は真っ黒!
 乾燥時間の間に殆ど紛失したロッドアンテナをちょっと加工しました。手持ちに適当なのが見あたらず悩んでいたところ、鉛筆立てに使えそうなものを見つけたのでこれをジョイントすることにしました。
 ただ差し込むだけでは駄目なのでちょっと加工が必要です。やり方はやっぱりナイショということで・・・


◇扁平型トランジスター◇

今ではもう手に入らないと思います。


 トランジスタもそうですが、ダイオードも大きなものです。こんなの始めてみました。この頃の部品は意外ともろく足がポロっととれちゃうとか?
 今回は通電だけで受信しましたので何もせず調整だけで終わりそうです。こんな古いTrラジオなのにラッキーでした。今時このTr探そうと思ったって絶対無理で代用品さえ苦労します。
 今はもの凄く小さなパーツになりましたが、昔はこんなに大きなパーツが使われていました。大きい部品の方が見た目に良い感じです。なんとなく・・・


◇乾電池のいたずら◇

液漏れの最悪状態です。電池受けの金具が完全に消えていました。


 サビが出ている程度なら研磨で再利用と考えますが、研磨するところがありません!
 となると・・と考えた末、銅板を曲げて代用品を作ることにしました。電池固定のホックはさすがに無理ですが、とりあえず使えそうです。
 取り付けてみたら左右逆になってしましいました。いやいやこれは逆になっても問題のないところ、左右どちらもプラス側ですし・・・


◇基盤の裏◇

3連バリコンに目が留まります。


 バリコンの固定金具を外したのでダイアル糸も張り直しです。普通は、球ラジオと違って小さいのでやりにくいのですが、これは簡単でした。またまたラッキーです。
 ダイアルゲージを見てみればBC帯が1650KHzまで刻まれています。1605の間違いかと思いましたが、ほんまに1650でした。


◇電池の装着◇

どういう訳かちゃんと装着出来ません。


 それもそのはず、電池ホルダーが無いのです。たぶん筒状になってて乾電池を入れるもの・・・
 それが無いのであっち向いてホイ!なんです。このまま裏蓋をすればちゃんと収まるでしょうが、なんか気分が悪い訳でー。
 筒の代用をまた考えなくてはなりません。


◇代用品◇

こんなのを使ってみました。


 おー!ちゃんと収まってくれた〜。ちょっと不細工ですが、電池をがっちりホールドしてくれるので、まぁ良しとしましょうか。
 これは神様のお世話になりました。えっ?なんの神様かって・・・
 我が家に君臨するのは山の神?と、え〜と、ひとりぼっち孤独になれる場所においでになる神様!○所の紙の芯です。


◇代用品 その2◇

今度は、広告の品を使ってみました。


 やっぱり「まいどありがとうございます。」の紙様ではあんましーなので、スーパーに行ったときに見つけたものを使いました。
 これは良く見かけるものです。何かというとコンビニ弁当の蓋といえば一番分かりやすいかもしれません。カットして丸めただけです。
 広告の品は売り出し品に付いていたのを剥がして貼ってみました。特に意味はありませんので・・・


◇完  成◇

できたできた!これなら飾っておいても良い感じです。

ちょっとほつれてますが、牛革のケースが付属です。


 感度は、やはり古いせいでしょうか、今時の6石スーパーよりちょっと良いかなと思う程度です。
 それでも、内蔵アンテナだけでラジオ関西やNHK東京が受信できるので立派なものです。ノスタルジックな古いトランジスターラジオですが、今でも十分使えそうです。しかし、勿体ないので大切に保管しておこうと考えます。


◇不思議なラジオに変身◇

何となく変です?もうお分かりだと思いますが・・・。


 よく調べずに使ったロッドアンテナはFM用だったらしく中折れタイプでした。
 それもアンテナを組み立ててから気がついたので、もうどうしようもありません。まぁ、お茶目なところもあるノスタルジックということでご勘弁です。全部引き出さなければ気にならないし・・・ちゃんちゃん!


<2009.06.27>


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