SANSUI TAC−505


 性能的には全くかもしれませんが、個人的に大好きなマスクのレシバーです。手にしたときは、電源も入らない状態でした。
 電源が入らない原因は、笑ってしまうような事でしたが、しっかり使い込まれた感じも見受けられます。ちょっと前まで現役だったのかもしれません。


◇雰囲気最高の丸型ダイアル◇

サンスイの象徴、伝統の黒マスクです。


 ケースは、天然ウッドの化粧板貼りあわせという豪華版です。また、同じようなデザインでグレーの金属ケースタイプもあったように思います。
 何が良いかというとこのダイアル窓なんです。ブラックマスクに浮かび上がるグリーンの文字といい、なんとも言えない雰囲気です。この窓はアクリルではなくガラスでした。
 これは飾って偶にラジオを聞くのに最適かな?と手を入れてみることにしました。使用するスピーカーにもよりますが、音色は、持ち運びが出来るポータブルとは雲泥の差です。


◇簡単に分解掃除◇

ざっと一通り内部のホコリ取りと拭き掃除、パネルも外します。


 前のオーナーは、こまめにプラグを抜き差ししていたのでしょうか。電源が入らないのは、この電源プラグの付け根が断線していただけです。
 電源コードを取り替えたら、何ごとも無かったようにランプ点灯です。ただ、ダイアルの照明が均等ではなく、半分くらい暗い感じです。
 裏から覗き込んで見れば、バックランプが3個切れていました。これが切れるというのは使い込んだ証です。長い間ご苦労様みたいな・・・


◇ウッドケースの補修◇

カド欠けやら捲れでケースはボロボロでした。


 もう、40年近く前の家電製品ですから、部屋の模様替えやらで移動時に、また物を落としたりでケースにダメージが生じます。
 これは、仕方のないことです。「形あるものは、必ず壊れる。」ということなので・・・。しかし、あまりにもなんですので、なんとかしたいのですが、同材質はあまりにも高価なこともあって躊躇してしまいます。
 そこで、考えたあげく、欠損箇所をパテ処理して簡単に対処しました。空気孔などは苦労しましたが、ぱっと見たところ良い感じです。簡単にいえばウッド調・・・もの凄く妥協です。


◇内部の様子◇

準コンプリは昔の標準アンプ


 メイン基板を見ると、出力コンデンサー用の印があります。ということは、マイナーチェンジ後で、初期タイプは出力コンデンサーが付いていたようです。
 パワーも20W+20Wそこそこでホームユースとしては立派なもの、TONEコントロールは低音、中音、高音と分割されています。これもサンスイの売り物のひとつでした。
 TONEコントロールというのは、賛否両論で邪道派、必要派と分かれます。これは使われる方に依存するものでこれという決め手はありません。
 邪道派の方は、TONE回路を通過すると信号が劣化して原音から掛け離れる。無い方が良い。ということです。
 必要派の方は、各々システムが異なること、置いてある家具も部屋も色々で音響補正は必要というものです。きっとどちらも正解なんでしょう。


◇TONEコントロールのノブ◇

高中低とあり、使う使わないは好み・・・


  TONEコントロールは高級アンプといわれるマッキントッシュやマランツそして国産の超高級アンプにも付いています。せっかく付いているのだから使って変化を楽しむのもよいと感じます。
 そういえば、良く評論誌などで、原音に忠実とか書かれています。しかし、原音?何を指して原音というのかと考えると、必ずといって良いほどレコードやCDに刻まれている信号音といわれる方が殆どです。
 さて、この原音は?と考えると担当したミキサーにお任せとなるのでしょうか?。それにマイクは、確実に原音をフラットで拾うのかという疑問、ミキサーがお色直しをしていないかという疑問が残ります。
 体験された方もいらっしゃると思いますが、アナログ時代のライブ盤とスタジオ録音盤の音の違いを感じたことはないでしょうか。ライブ盤は会場の雰囲気を重視したりでスタジオ盤に比べ迫力がなかったとか・・・はたして原音とは・・・加工された原盤のこと?
 それはそれとして、能書きは評論家に任せておいて、音が楽しければ良いのです。学ぶことはではありますまい・・・


◇バーアンテナ◇

AMの感度がいまひとつ


 目的は、格好良いので飾り物の予定。そして時にAM放送を楽しもうと思ったから・・・・
 しかし、サンスイの設計だとAMはオマケみたいな感じ?音質重視のFMにはそれなりに力を入れてあるようです。TRIOに比べてAMは、メチャクチャ感度が悪いのです。TRIOといえばKENWOODに変わりましたが、以前L-02TというFM専用機に憧れました。とても手に出来るものではありませんでしたが・・・・
 何処かトラブルか?とバーANTを調べてみましたが、コアが割れている様子もなく、単に感度が悪いだけです。それも6石スパーより悪いのです。


◇反   転◇

試しに180度回転!


 それにしても感度が悪いので試しに他のバーANTを取り付けてみたら、ジャーというノイズが増加しました。これでは耳障りなのでオリジナルを使うしかありません。
 一応オーディオ製品!メーカーとしては、ノイズや雑音をことごとくシャットアウトが基本なのでコスト内で選んだのは強力な放送局だけを拾うことだったのでしょうか。
 ミノムシクリップを使い、バーANTを本体から50cmくらい離すとメーターは元気良く振ります。これは、裏パネルが金属ですから、磁束が遮蔽されて、コイルのQが落ちてしまい、離すことによって性能発揮ということです。
 これも最良のポジションを探ると、どういう訳か180度回転すれば感度アップでした。ただ、外部ANT端子の邪魔になります。
 この現象は判りませんが、バーANTのホットエンド側の損失が少なくなったからとのことで、コールドエンド側が固定されたからだとか・・・なんの事だか、ちんぷんかんぷん??


◇終  了◇

なかなかのデザインだと思います。


 これで外部ANTを取り付けなくてもローカル放送はバシッと聞くことが出来るようになり、目的達成です。
 このレシーバーはプリとメインの切り離しが出来るようになっていてショートバーが必要です。ところが紛失していたので内側からショートさせ対応しています。この端子は多分使うことがないので支障無しですが、使うときには蓋を開けなければなりません。


◇記念撮影◇

正 面

後 面


 アンプ部は、ガサゴソ音が出て来ましたので調整VRの接点を綺麗にしたらおさまりました。それからバイアスの再調整です。
 チューナー部はIFTと周波数調整、その他は、電源コードの交換、バックランプの交換と、この程度でした。
 聞いてみると流石に年代物です。VRを絞ってもサーというノイズが出ます。これはメイン初段が日立のC458(旧タイプ)ですからこの程度は仕方のないことです。以前、好んで使っていたC1000あたりだと代替えも可能ですが、ノイズもノスタルジックとそのままです。いつでも交換出来るし・・・
 入出力端子類は必要最低限みたいで、スピーカーも1組だけです。拡張性より使い易さを優先したレシーバーだと思います。デザインは抜群!と思うのは私だけかな・・・・


◇おまけ◇

こんな広告がありました。


 当時は、セット物でも発売されていたみたいです。
 その名は、TACシテム。音楽ファンのためのベストコンポーネント
 どおりで何処かで見たことあると思いました。


<2008.12.24>


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