SONY TR−800


 発売は、昭和44年頃でしょうか。私がランドセルを背負っていた頃のかなり古いBCバンドだけのトランジスターラジオです。
 スイッチを入れて様子を見たところ、ザァーっというノイズが聞こえたので大丈夫と思いましたが、すごい音割れと不思議な症状がありました。
 それは同じダイアル位置で同調が出来ないのです。つまり同じ放送局を聞こうとしてもダイアル目盛が1000KHz近辺で合ったり1300KHzのところで合ったりと首をかしげる状態でした。
 何故かしらん?と蓋を開けてダイアルを回してみると・・・・ポリバリコンがケースごと動いているのでありました。


◇外  観◇

見た目は綺麗なガタガタのポンコツラジオでした。


 なんでこうなるの?と調べてみれば、なんとポリバリコンを固定してあるはずのビスが2本とも無くなっていました。
 元オーナーが手を入れた様子もないので、自然に緩んで何処かへ行ってしまったようです。しばらくは中でカラコロ音がしたものと想像できます。
 それに、このビスはラッカー止めの形跡は無し、忘れたのかな?そういえばこのメーカーは基盤など内部部品の組み立てはそこら辺の内職業者に任せていたとか聞きます。ということなら普通か・・・
 これはダイアル部分を分解してビスの補填で完了!よく見ずに分解したので糸かけに苦労しました。分かれば簡単な作業ですが・・・


◇ダイアル部分◇

フイルムじゃなくてドラム型です。

ポリバリコンの取付ネジが無くなっていました。


 さて今度はちゃんと同調出来るだろうと再び電源ON!・・・れれ?
 SSBみたいな変な音〜割れてるし〜!こりゃぁトランジスタのパンクですね。と勝手に決めつけました。なんでかというとPAの1個は触れないほど熱くなってました。


◇SONYのトランジスター◇

たぶん三菱製のTrだと思います。

 調べてみると低周波増幅のパワーTrは1個は発熱させてしまった為NGでした。ドライバーはSONYのC870、あれこれって三菱じゃないの??でもこれは無事でした。
 PAに使われているB495はガラクタ箱に見つかりません。この三菱Trはの通販のサイトでも見つからずでした。
 仕方なしに代替で東芝のB415を使うことにしました。しかし、この壊れ方は異常です。トランス式なのでSPをショートさせてもしばらくは大丈夫なはず。
 となると、ポリバリコンのビスがどこかを短絡させたのかな?とも思いましたが・・・
 高周波部分のTrは松下さんのC829です。他は三菱さんのTrだと思います。SONYのC870なんて見たことないしOEMかもしれません?


◇原因はここ!◇

銅箔にクラックを発見!

ハンダを盛りつけてあっけなく完了!


 Trを交換しても音割れは解消せず、変だ変だと基盤を眺めていたらあれれのれ?
 角度によっては確認できないほどの細いキズが目に留まりました。そうなんですねカワサキさん!←古い〜。
 ベークは割れていないので、このクラックはどうして出来たのかは不明ですが、音割れの原因はこれでした。片側が作動出来ない状態だったということです。バイクでいえば片排みたいな・・・
 そこに半田を盛っておしまいみたいな簡単なことでした。


◇シンプルなデザイン◇

TUNEとVRだけのノブでシンプルな作りです。

TONEコントロールがワールドボーイみたい?


 デザインはシンプルで私好みです。音質切替にNEWSとMUSICとがあってナショナルのワールドボーイみたいな雰囲気もあったりします。
 最初はSONYって分からず、マークを見て、あれ?って思ったくらいですから・・・
 これに皮のケースでもあれば立派な「おじさんラジオ!」こういうデザインって好みだったりします。
 中身はというと、これも珍しい抵抗がプリントされている基盤、抵抗値のチェック面倒だし、経年変化にも対応が難しいです。そして燃えたら大変なことになります。


◇内   部◇

印刷抵抗が採用されています。


 このメーカーはぎゅうぎゅう詰め込んだ印象があるだけに、内部は広々でSONYさんにしては珍しいタイプだと感じます。
 そして、どこぞかしこ壊れているのが多いと感じます。これは偏見かもしれませんが、ナショナルや東芝に比べ、壊れたものに出会すのが多いのです。なぜか・・・

 最後になりますが、これって大きさといいシンプルなデザインが気に入ったのでまともに働くようにしてみました。
 音色はさほど固くもなく聞き易いと感じました。感度は、まぁ普通でしょうか・・・そんなとこ。


<2012.06.27>


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