◇Victor MCA-100B 一応4チャンネルアンプ◇


おもちゃみたいなアンプで遊びましょう。


 1970年代に入り、4CHステレオが本格的に市場を賑わすようになりました。方式は、各社いろいろであり、ディスクリート方式とマトリックス方式とかで、同じマトリックスでもメーカーによっていろいろでした。このように統一されずバラバラの方式ということもあってか、4CHブームも数年で市場から姿を消す運命でした。
 このMC-100Bは、おそらく最下位にランクされる4CH機能を搭載したおもちゃアンプでしょう。私がその昔に一生懸命さぼりながらバイトして、やっと手に入れたアンプに似ています。
 実際手に入れたアンプは、メインアンプが4基搭載されたこれより本格的なおもちゃアンプで、型番とかはすっかり忘れました。
 でも、4CH時代に終わりを告げる頃で展示処分品だったのか、すごく安くしていただいた記憶があります。


◇内部基板◇

4CHですが、中身は2CHアンプです。
クリスタルカートリッジ用でEQアンプもありません。


 ケースは、プラに木目調印刷と高級感を狙った一番安価なアンプ?。サイズは、A4サイズの縦長と小型のルックスです。
 出力は、推定8W+8Wくらいかな・・・真空管でいえば50EH5クラスの簡易アンプと思えば良いでしょう。入れものもプラスチックでシールドなんてろくなものではありません。その程度のアンプです。
 手入れといってもこれといって無いようなアンプでしたが、電源のケミコンが容量抜けなのかハム音が多いくらいでした。これは、交換したところ気になるハム音は、すごく減りました。しかし完全ではなく若干聞こえます。全波整流の簡易的な電源なので当たり前ではありますが・・・。そして当然ですが、パワーTr、SPを守る保護回路も付いていません。
 私は、こんなアンプでも何故か好きで、懐かしいやら何やらです。そういうことで手元に置いてBGM用に、お気軽アンプとして手元に置いておきたいと考えます。


◇ちょっと塗装(リアパネル)◇

リヤパネルにサビ、ビス類も赤さびでした。


 高級機ならともかく、今から30年くらい前のこんなアンプが良く生き残っていたものです。普通ならとっくに処分されているはず、それくらい前のものですから当然、湿気とホコリで錆やら発生しています。ましてや使っていたのだから当然キズもあります。それでも良いのです。懐かしいから・・・
 外観は、磨けばそれなりになりましたが、リアパネルは錆びて忍びがたいものでした。面倒ではありますが、リアパネルの端子類を外し、洗って磨いて乾燥、再塗装としました。ネジ類も磨いて黒ネジとしました。
 再配線で面倒だったのはDIN端子です。間隔が狭く、線は細いし嫌になりました。これは今では使わぬ端子です。当時は、デッキなんて持てる身分ではありませんでした。モノラルのカセットレコーダーで我慢です。


◇フロントマスク◇

シンプルなデザイン!アルミの無垢ツマミ採用


 操作部はさすがにビギナー用、使わないMICのツマミもありますがスッキリしています。電源SW兼TONEは、回すと電源が入るタイプで真空管ラジオみたいです。
 そして、音量にセレクターというシンプルなパネルです。さて、目に留まるのがひょこんと出ているレバースイッチ、これは、マトリックスのSFCSというもので4Chのリアスピーカー用です。
 CDのようにデジタルだと歪みもなくエコーが掛かったようにリア端子のスピーカーから音が出ます。これでちょっと遊んでみました。今で言うサラウンドの原形みたいなもので、確かに雰囲気は味わえます。センターウーファでも付ければ5.1Ch?
 このサラウンドは現在、AV(オーディオ&ビジュアルの略)で主流のようですが、音楽を楽しむとなるとやはり抵抗があります。それにあのサウンドはどうも好きになれません。騒音のない田舎で育った私には、やかましい以外なにものでもないような気がします。個人的なことではありますが・・・


◇同サイズ機材と記念撮影◇

レトロなミニコンポスタイル!


 おもちゃでもこうすると楽しいのです。音は、安価なTrアンプのこと、歪み率だの特性などというのは無関係で、音が出るだけと思っていただければ良いような、そんなアンプです。
 同シリーズのMCT-100と積み上げればなかなかの勇姿?昔使っていたアンプはもっとツマミが並んでいましたが、雰囲気は十分味わえました。これに乾電池で働かせるパイオニアのEQアンプを付けてレコードを聴いていた時代が懐かしい・・・
 EQアンプは、確かSTP-2とかいいました。006Pを入れて使う機械です。中身はゲルマTrでノイズの多いちっちゃなEQアンプでした。懐かしい昔のこと、良き時代だったと・・・

※おもちゃアンプとは簡易型/普及型アンプリファイヤーのことです。


◇ヒートシンクもアルミを曲げたもの◇

リアパネルも放熱板に利用するなど簡単な作りの普及型です。


<2008. 8. 27>


しばらくして・・・


 床にアンプや小さなスピーカーなど積み上げ、本を見ながらしばらく喜んで聞いていました。懐かしい音色、といっても、ラジカセではなく小型のデジタル機器を接続していますので、以外とクリアーな音色です。
 気にならなくなったハム音ですが、しばらく聞き入ると、やっぱり気になり始めました。それもそのはず、耳元スピーカーなので・・・
 しばらく我慢していましたが、どうにもこうにも耳障りになってきました。これを消すなら、安定化がベストと考えます。


◇電源部改良の巻◇

悪い子発見、下の基板は仮組みの安定化基板


 トランスも交換してブリッジとし、試しにハンパな基板で定電圧ユニットを仮組しました。
 そしてミノムシで仮給電するとスカッとスッキリとハムが消えました。当たり前のことではありますが、スッキリしました。
 さて、これを組み込めばおしまいなのですが、取り付けてみたらまたブ〜〜ンです。ハテ?ん〜〜?なんで・・・??
 トランスのビスを緩め、ケースの外にころがすと今度は、スッキリ?これだ!トランスの磁気が飛び込んでいるようです。
 外付けという訳にもいかないのでベストポジションを探してみるとなんとちょっと斜めに取り付ければスカッとスッキリとすることが分かりました。おまけに定電圧回路なんて不要です。あらま・・・・


◇トランス部◇

ということで斜めに取り付けました。


 取付に悩みましたが、ジュラコンのスペーサーを斜めにカットしてトランスの上下に挟み、長目のビスで締め付ける事にしました。
 大電流ではないので唸りの心配はないようです。スカッと消えて気分爽快・・・・めでたしめでたし。
 トランスが、計測器に使われているような防磁型なら文句なしですが、小型の普及型ということもあり、手抜き?な作りなのですから仕方がないと思います。ハエさんがいなくなって、十分楽しめるおもちゃアンプになりました。


◇手抜き基板?◇

設計変更で部品節約?


 メーカー品では、よく見られる部品が付いていない部分。これらは、仕様変更等に伴うものでパーツが不要になったところです。
 これもその部分かと思っていました。ところが、基板を良く眺めるとコンデンサーが浮いた状態のところや、回路として寸断されている格好のところが目に付きます。
 どう考えても変なのであります。あまりにもおかしいのでテスターであたってみると導通がありました。そうなんです。部品配置用の印刷かと思えば、抵抗体が印刷されていました。多分1/4W型だと思いますが、こんな昔からあったんですね・・・。良い悪いは別として、交換は出来ないし、焼けたら大変な事になります。


<2008.09.04 追加>


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