SANSUI AU−D707X


 かつて音の名門とか伝統のといわれたサンスイのプリメインアンプです。
 以前、このメーカーのセパレートを愛用していたことがあり、その頃の印象といえば、ズッシとした重低音から高音域までぐいぐい押し迫る迫力で、ウッドベースの震えるような重低音、シンバルのアタック音と無理なく聞かせてくれる。
 なにしろ聞いていても疲れないし、聞きやすいし、しっかり元気のあったアンプでした。そして重くて流石にサンスイと感じたものでした。
 しかし、音には好みがあり、一概にはいえません。サンスイは好まない方も当然いらっしゃいます。例えばPA機のようにダンピングのよく聞いた音色を好む方もいれば、艶やかな高音域を好む方もいます。
 このように好みはいろいろですが、どちらにしても生演奏には敵いません。
 オーディオは、芸術と考えれば良いのでしょう。楽しみ方はいろいろ、十人十色と申しますから・・・


 このAU−D707Xは、セパレートでなく扱い易いプリメインアンプですが、意外と重いものでした。
 蓋を開けてみれば、もの凄く大きなトロイダルトランスに目が留まります。重くしている犯人はこのトランスで、あの重圧サウンドが期待できそうな雰囲気があります。
 キズはあるものの壊れてなければラッキー!だと思ったのですが、やっぱり壊れていました。それも半端な壊れ方ではありませんでした。


◇サンスイなのにシルバー?◇

黒のベールを脱いだ?なんとなくイメージが・・・


 サンスイといえば黒いマスク!のイメージが強いのですが、オーディオブームも終わりを告げ始める頃のものでしょうか。変ですが、手にしたのはシルバーパネルでした。
 現在はピュア・オーディオを求める方というと、ごく一部のマニアだけとなってしまいました。そんな中でメーカーは、なんとか活路を見いだそうとしたのでしょう。ピュア以外に手を広げたのが原因ともいわれていますが、時代の流れに乗れず、サンスイのアンプは長い歴史に幕を下ろすことになりました。


◇内部の様子◇

あまり使ってないのか、意外と綺麗です。


 ざっと見たところ、電源のヒューズは飛んでいませんでした。これはラッキーかな?とスイッチをONしてみればランプも付かない状態です。
 そうです。電源も入らない状態だったのです。ここはリレーを使ってON−OFFを制御してありました。電源スイッチのスパークを避ける為でしょう。
 更に調べてみると保護用のセメント抵抗が焼き切れていました。ということは、相当無理をしたということです。やっとセメントを交換して電源が入るようになり、なんとか症状が判るようになりました。


◇不思議な基板◇

片CHのパターンが捲られています。


 更に調べると基板のパターンが一部無くなっています。ここはプロテクター関係のようです。型式とか記入のない外国製のトランジスターらしきものが付いていました。
 しかし、ここの115と603と書かれたTrは、三菱の2SA1115と2SC2603ということを教えて頂きました。ありがとうございます。
 捲り取られたパターンは疑問ですが、基板を眺めると手を入れてある様子があります。ちょっと電子回路を理解しているような、そんな方が、修理を試みたような感じ・・・・


◇固定金具紛失◇

内部にも転がっていませんでした。


 また、良く見るとドライブTrをヒートシンクに固定する金具がありません。こんな事は普通の人だと絶対無理で、この系統が悪いと特定するのも無理なはずです。良く判ったものだと感心です。しかし、そこから先は、さわり程度のレベルだったのか無理だったようです。
 更に初段ドライバー基板を見ればTrも数個交換した形跡があり、終段ドライブ部も数個交換したような様子がありました。その他も新たにハンダを盛ってあり、接触不良を疑ったような感じ・・・アマチュアの小細工。


◇ことごとくパンク◇

なんと電圧増幅部のTrがほぼ全滅・・・


 ということで、あれこれ調べていくと、メイン部が1系統PAまでずらりと飛ばした恐ろしいもの!オマケにプロテクター回路まで・・・いったい何をしたのかなと首をかしげるアンプです。
 普通こういうアンプは、プロテクターという保護回路がついているのでPAなどは助かるハズですが、ものの見事にパンクしています。
 とはいえプロテクターも完璧なものではないので上手く働かなかったのかな?とも考えます。
 しかし、このPAのパンクにはまいりました。この為、初段の電圧増幅部がことごとくパンクです。それもそのはず差動アンプなので直撃されちゃいます。おまけにもう一回路の初段までパンクしていました。
 片CHだけ交換だとアンバランスなのでFETは、両CHとも交換となります。


◇パンクのサンケンと交換した部品等◇

まだ辛うじて手に入るようです。


 フルドライブで100Wは絞り出せるPAですが、余裕をみて約半分でドライブ?しかし、パラで使って120W(8Ω)以上取り出しているようです。
 サンスイは、昔から音には定評があり、サンスイファンはも多いもの。もし直れば楽しむことができるのかな?と期待しているのですが、どうも怪しい感じ・・・
 また、このアンプは面白いことに波形でいう正側と負側が単独アンプで構成されている感じです。
 SSBでいうとUSB側とLSB側に分けてドライブしているような、つまりメインアンプが4つという変なアンプです。
 これがサンスイ独自のダイヤモンド差動回路というやつかな?普段見慣れているDCアンプとはどうも勝手が違います。

【余 談】
 サイトで検索すると、DCアンプという文字をよく目にすると思います。
 DCアンプとは、電源のDCではありません。ダイレクト・カップリングで直結アンプのことを指します。また、Direct current アンプといわれ、直流をカットするコンデンサーが信号ラインに入らないアンプのことをいいます。
 その前タイプは、コンプリメンタリ(ピュアコン)で回路的に大変良く似ています。いわばこれの改良型ですが、直結とした為DCまでも増幅できるようになりました。しかし、不要なDC成分を増幅するとトランジスタがパンクしてしまうので、それを検知して打ち消すようになっています。(保護回路に依存しているアンプもあります。)


◇音出し成功なり◇

壊れたTr交換でプロテクター解除になりました。


 まさかここまでとは思いませんでしたが、PAを一組交換、初段ドライブ6個とFETを交換しました。
 それとプロテクターのTrを交換です。しかし、ここに使われていた115というのが無かったので代用にA1015、C1185と考えました。
 これをサブ基板を取付て試験したところ、プロテクターが解除になりました。続けて所定のテストをしてスピーカーを接続です。
 片側だけA1015などだとバランスが悪いのでどうしようか迷っていると115が付いたジャンク基板を発見!これ、三菱のビデオだと思うのですが・・・ラッキーということでプロテクターは元の石にまたまた交換です。


◇プロテクター基板◇

結局オリジナルに戻しました。Tr1個でも大騒ぎです。


 今度は、ダミーのつもりで燃えても良いような裸のユニットを使います。入力側からソースを入れボリュームをちょっと上げてみます。
 すると、どうでしょう。わぉ!です。床に転がしたユニットがぶるんぶるんとすごい振動です。これは、サンスイの重圧サウンドが期待できそうです。


◇ドライブTrの固定金具 その1◇

奇妙な形なので作るのは面倒です。代用品で固定


 もうひとつの問題!それは、PAのドライブTrをヒートシンクに固定する金具がひとつ無い事。洗濯バサミでも事は足りますが、気分的に調子が悪いのです。
 このTrは、殆ど熱は出ませんが、無いというのも好ましくありません。もう少しスペースがあればアルミで作ってなんとかなりますが、ビス頭の入るスペースもありません。
 また、ヒートシンクにビス穴でもあれば簡単ですが、これもありません。きっとコストダウンの為、金物で対処したのでしょう。ビスで固定する時間と金物を差し込む時間を比較して短い方を選んだというわけ・・・
 材料より人件費が高くなってしまった時代のことですから仕方ありません。このように、このアンプには材料か人件費を採るかでコストダウンを図ったところが随所に見受けられます。サンスイ伝統のガッチリした丈夫な構造が消えてしまったような感じです。1970年代の製品くらいまでかな、丈夫なのって・・・
 ところでカラーミニクリップじゃ変ですよね〜。圧力といい丁度ピッタリなのですが・・・


◇ドライブTrの固定金具 その2◇

全部揃えればちった〜いいかなと・・・


 この金具は文具のクリップとかアイデアを頂きましたが、ダブルクリップやガチャクリップでは圧が強く、あまり好ましくありません。ということで、圧力も手頃なクリップを見つけたので挟んでみましたが、どうも似合いません。ピカピカで綺麗ですが・・・
 このクリップを眺めていて思いついたのは、これのバネです。分解して取り出し、ちょっと広げてヒートシンクに差し込めばピッタリカンカン!
 左右に動かないように、接着材をちょんちょんと付けておしまいとなりました。クリップのままより、うんと見栄えが良くなりました。


◇しばらくモニター!ところが・・・◇

なんともう一組PAパンク!


 時折フワフワとアイドルが不安定なのが気になりましたが、一通り調整も終えたので、早速CDプレーヤーを接続して喜んで聞き入っておりました。
 流石にサンスイかな、小型のBOXでもしっかりドライブしてくれるようです。ところが、モニター3日目の晩のことでしょうか、カチンと音が出てブチッ!となりました。
 あれー?10Aヒューズが見事にとびました。もうウンともスンともいいません。すごろくと同じでふりだしに戻ってしまいました。またまたゴミアンプがゴミアンプに戻ってしまいました。
 面白くないので部屋の片隅にポイ!・・・ショボンです。フ〜〜ンだ!!


◇完   了◇



 いじけたので、しばらく部屋の片隅にほかって置きましたが、チラチラ見えるアンプは、やはり気になります。
 よっこらせと重たい腰を上げてPAを交換です。やはり、リーク寸前で聞いていたようで、これの交換だけで働くようになりました。
 さて、またまた面倒な調整があるわけで・・・初段の電圧増幅部の2個とメインドライブ部に2個の調整VRをそれぞれ調整ですが、このアンプちょっと変わっています。バランスを見ながら行わないといけないのでテスターを2台使いました。
 聞いてみれば音色は、流石にサンスイ!現在もファンが多いのもうなずけます。アンプとしては高級ブランドに入るとか・・・?その他にEXCLUSIVEっていう超高級ブランドもありました。ありますかな?

 そうそう、想像ではありますが基板のパターンが無くなっていたいたのは、PAがリークした為、大電流がプロテクター感知部に流れ、更に此処のTrをリークさせてアースに落ちた感じです。
 この大電流の為、パターンが耐えきれず溶けて消えてしまったのでしょう。要因はスピーカー端子が緩み片側が、シャシと仲良しこよしになった感じです。
 このアンプは、プラス側もマイナス側もシャシから見ればればプラスになっているようなアンプです。緩まないようにSP端子はガッチリ締めましょう。


【追  記】
 このアンプはOMさんに石を手配していただき、お陰様でサンスイサウンドを楽しむことがました。大変お世話になり感謝申し上げます。
 パワーは同じくらいですが、流石にONKYO A-817RX�兇茲蠎全兇�違い、重圧なサウンドと感じました。


<2008.12.28>

コストダウンしたAU−D607Xはこちら


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