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◆ナショナル 5球スーパー QS−100(その2)◆


 さて、分解掃除も終わり準備が整ったところで組立です。主なパーツをシャーシに取り付けてしまえば、組立といってもさほど難しいものではありません。慣れている方であれば、2時間くらいで終わるのではないでしょうか。
 配線で面倒なところといえばヒーターの配線でしょうか、あとはANTコイルの引き回しとバリコン、それにパイロットランプです。どうしてかというと、ヒーターはぐるぐると縒らないといけないし、ANTコイルなどはシャシをひっくり返さなければならないからです。ただそれだけのことです。


◇配線開始◇

やっぱりヒーター配線から始めます。


 まずは、めんどうなヒーターの配線から始めます。オリジナルは、縒り配線ではありませんでした。メーカー製のラジオには、この配線方法に縒らないタイプと、片側裸線のアースタイプが見られます。
 オリジナルの方法ですと比較的容易ですが、ハムに対して縒った方が素人の経験では有利のようです。それとアースポイントもハム対策として重要なところです。


◇配 線 中◇

あっ!まちがえてら・・・


 ヒーターの配線が終わったら、アースの引き回し、それと+B回路を配線します。+B回路はIFTまでと、P端子から6D6、6WC5のまでプレートまで配線すると良いでしょう。といっても配線の順番は各々自由ではあります。
 あとは、配線図に沿って順番にCRをつけていけばおしまいになります。VRの配線も忘れずに・・・・シールド線の末端処理もちゃんとしましょう。


◇配線終了◇

間違えていないか再々チェックして再チェック!


 さあ、完成だ!喜びの瞬間です。わくわくしながらSW−O〜N・・・・
 あれ〜?・・・なーんも聞こえません。ヒーターは灯ってっしー、へんだなー。おかしいなー・・・・・・・・?
 次の順番として、各所の電圧を測りますが、最初は、整流管からの出力電圧です。テスターのレンジをDCVに切り換えて測定端子の黒をアースにあてます。そして赤を整流管の4番ピンにあててみます。やっぱり・・・というか、なんと2Vしか出てませんでした。
 しっかり使い込んだ感じがしてたので、想像はしていましたが思ったとおりでした。


◇黒くトップの焼けた整流管◇

お亡くなりになっていました。


 純正は12Fですが、ここはナショナルのプレートがXの形をした球に交換されていました。文字が消えていたので整流管χ?とでも・・・多分80BKかな、HKかな?やっぱχ?
 同じ球があるので差し替えたところ無事作動しました。もう1本、6D6のトップが取れた球が挿さっていました。これはリード線が根本から切れているのでどうしようもなく交換しました。
 取れた要因はというと、どうもこの長いシールドケースが怪しいのです。木箱からシャーシを取り出せば簡単に外せますが、そのままでは長くて外せません。そのまま球を交換しようとすれば、グリッドキャップのリード線を引っぱってトップに無理な力が加わります。それも斜め方向に・・・・。また同じ可能性があるのでショートタイプに交換しました。こりゃ、設計ミスだー。と思う。


◇頭の取れた6D6とトップの黒い6ZDH3A◇

もう少しリード線が残っていれば・・・勿体ない!


 整流管を交換し、無事作動!各所電圧を測ってみれば、見慣れた値の範囲でOKです。一発で作動しました。まぁー珍しい・・・・
 調整は、IFTとトラッキングだけです。IFTの特性でしょうか、キレが良く帯域が狭い感じです。ということは混信に強いDX向きなのかな?音は、さすがに気合いと根性で巻いたトランスです。それなりに低音も出てまずまず・・・だと思うんだけど・・・当然、昔の真空管ラジオの音がします。


◇点 灯・・・・・◇

この灯りがいいのです。なんといっても・・・・


 調整、通電試験も終わったので箱に入れます。同じサイズの真空管がずらりと並ぶ姿の見納めです。
 裏側から3本のビスで、シャシを固定して完了ですが、問題はこの固定です。前後左右に多少の余裕があり、上手く合わさないとせっかく合わせた周波数が、ダイアルと合わなくなってしまうからです。そんなにシビアなものではありませんが、正しいポジションに合わせて固定します。
 キャビネットにダイアル表示が刻んであるラジオの欠点ではありますが、横行ダイアルの糸式よりは、まだ容易です。レス式の小型だともっと大変です。


◇周波数文字盤◇

綺麗な朱色に浮かび出ます。


 ネックとなっていたサランネットは、ぶらぶら出かけた日用雑貨品店で端布をあさっていたら、ゴールド系のカーテン地らしきものを発見!
 早速購入して、張り替えることにしました。模様も入っていることだし、それなりに見えるような・・・?汚れて破れたままより良いということで・・・・。やっと悩みも解決しました。
 このように古いラジオをなんとかしようと思うとサランネットはなんともしがたいものです。ましてや1面サランを張ってあるラジオは破れていると最悪です。サランさえ手に入ればなんら問題はありませんが、もう手に入りにくい布地だからです。


◇後   姿◇


左側に紙が貼ってあった?


 裏板も色づけをしてあります。55年も経っているので焼けて色あせでしょうか、ステインで軽く色を付け終了という簡単なものです。
 紙を貼ってあった形跡があるのですが、注意書きだったのでしょうか。配線図、糸かけ図などは中に貼ってあるのでなんだったのか不明です。真空管はナショナルというのは丸いはずなのでこれではないと思います。


◇配 線 図◇

小さくてとっても見にくい!不明箇所も・・・・


 正直なところコンデンサーの値は読めないところがありました。それでも通常使われている値なら大丈夫なのでそれらを使いうことにしました。
 驚いたのは抵抗器です。コンデンサーはボッチイのに、これは大きく狂っていなかったのです。当然ですが、木箱ST管ラジオにはL型抵抗が似合います。コンデンサーは円筒のフイルムを使ってます。ちょっと贅沢だったかな?


◇記 念 撮 影◇

やっと完了です。


 私が生まれるず〜っと前、今から55年も前に作られたラジオから再び音楽が聞こえます。当時の放送番組を聞くことは出来ませんが、とても柔らかな、空気にとけ込むようなそんなやさしい音色です。
 こんなに良いのにどうして製造されなくなったのかな?時代の流れと共に消えゆく真空管ラジオ・・・・いいんだけどな〜。家電メーカーは2度と作ってくれないラジオです。
 


<2007.12.17>


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