【1】 【2】 【3】

◆TRIOの4BAND通信型受信機の簡単整備2◆


9R−42J(アマチュア無線用)


◇扇形ダイアルが2個のレトロマスク◇

当時はこれが主流のデザインだったようです。

 チリメン塗装の鉄ケースに入ったレトロなマスク、私から見れば骨董品です。OMさんにとっては憧れの受信機だったようで、今でも懐かしさを求めてなのか、こういった高1中2を自作される方もいることを知りました。飾っておいてもなかなか良い雰囲気です。
 左側のダイアルがメインで右がスプレッドダイアルです。このスプレッドダイアルが短波帯で同調をとるのに威力を発揮します。
 普通の2バンドの5球スーパーで短波を聞こうとするとBC帯に比べ放送局を探すのに苦労ます。この問題を一挙に解決してくれるのが、このスプレッドダイアルです。しかし、周波数はこのダイアルで正確に読み取ることが出来ません。当時はそれでも良かったということなのでしょうか。


◇その頃のアマチュア無線用機器(雑誌より抜粋)◇


当時はマスクにも各々個性がありました。

9R−42Jよりは後の機器ですが、まだ扇形も健在していたようです。


 こんなに揃えても困りますが、良い眺めだと思いませんか。STAR・八重洲、メグロとかもあるようですが、知らない機械ばかりです。TRIOさんが9R59を販売していた頃のもの・・・
 9R59といえば、嫌〜なことを思い出しました。


◇TRIO 9R−59◇

扇から横行ダイアルにモデルチェンジしました。初期型だそうです。


 それは、磨いたままで未整備のままお蔵入りしているのだからです。いつかは手を入れてみようと思うのですが、なかなか思い立ちません。良いラジオなんですが・・・メンドーだし。


◇組み立て再開の巻◇


とりあえず面倒なヒーターとかの配線から

流れるような配線はあり得ない感じです。


 配線をしていて思いました。回路図の如く流れるような配線は不可能です。コイルパックということもありレイアウトが限定されてしまうからです。どうしても部分的に戻るような形になります。
 IFTへの引き回しもなんとなくしっくり来ません。しかし、当時のオリジナルと思って配線を進めました。


◇パーツを付けながら思う◇


どなたにも簡単に組み立てられる。という受信機

という割には、凄い配線量です。


 業務用受信機程ではありませんが、配線する量が比較的多く思います。コイルパックを採用してなければもっと凄い事になっていたと思います。というのもロータリーSWの配線はとても混み合い、配線ミスも起こし易いところ、高周波を扱う場合は回り込み等の発振も引き起こし易いところでもあります。
 こういった問題を解決したのがコイルパックです。これにより、配線ミスも非常に少なくなり「どなたにも簡単に組み立てられる。」ということになったのかもしれません。
 簡単といわれても、とにかく暑い最中、配線も一日に5〜8本が限度です。コテの熱さも重なって額から流れ落ちる汗、集中していると目にも入ります。夏に長時間ハンダごてを握るのは控えた方が良さそうです。エアコンのない暑い夏、猛暑との戦い・・・。


◇緑の円盤、セラミックコンデンサー◇


部品を取り付けていったら足りないことに気がつきました。


 ヒーターの配線、B回路、メーター回路と、リード線の長いところを先に済ませます。完成すれば当時のサウンド、雰囲気が味わえるはず・・・と気は焦っても体がいうことを利きません。のんびり、のんびり進めます。
 緑のセラミックは高周波回路向きのコンデンサーです。このキットには沢山採用されています。恐らく安定度を狙ったもの・・・・回路図に沿ってぺちょぺちょ取り付けていくと3個足りません。あれ?です。セラミックでなくても受信は出来ますし、あまり見るところでもありません。
 それでもなんとなく緑の円盤を付けたいのです。変な拘りですが、なんとなく・・・。ないかな〜とジャンク箱をゴソゴソすること2日間!あったあった!2個めっけ!それも同じメーカーです。早速、2個取付て本日の作業終了。でもまだ足りない・・・。こんな状態の日が続きます。


◇OMさんからお知らせが・・・◇


届いた緑の円盤!感謝です。短足は手持ち品

緑の円盤で統一出来ました。ちっと満足!


 ワガママといえばそうですが、あるものなら使いたい緑の円盤。他のOMさんにも探して頂きましたが、容量不足で諦めました。お手数かけました。
 と思っていたら、スーパーOMさんからも「ありますよ。」とお知らせ頂きました。感謝です。中古と言われてましたが、足が長いし未使用品かもしれません。取り付けて完了です。そして全バンド調整しました。


◇ダイアルパネル◇


さて問題です。このスプレッドは全部入れた状態で調整?


 そう思っていました。そしてスプレッドは2KHzで直読出来るのかな?コイルもバリコンの羽を全部入れた状態で設計されているのだろうな〜。と・・・
 そんな折、お知らせが来ました。普段はスプレッドを抜いた状態で使用するのだそうです。A-BANDは、スプレッドを使用しません。ともあります。
 全部入れた状態で調整して、抜いた状態で使用したらダイアル目盛は合いませんよね〜。なるほど!抜いて調整なんだと・・・。C-BANNDはイメージが多いな〜と思いつつ再調整。コアがメチャクチャ抜かれていました。トリマも全開??です。あんだこれ?イメージ拾ってるんじゃないの。でした。


◇改造の痕跡と目隠しステッカー◇


30φの穴は改造みたいです。

逆さまですが、適当にシールを作ってみました。

シールは作り替え、薄いアルミ板に貼り付けて穴を塞ぎました。


 30φの穴は当初から改造用に空いていたのか分かりませんが、ソケットを固定するビス穴がセンターではありません。
 ということは、後から空けられた可能性が大、その横には銘板を止める小さなビス穴があります。タップも切ってあります。ということは、ここに銘板が付いていたはずと推測できます。
 オリジナルの銘板はもっと巾が少ないものだと思いますが、穴を塞ぎきれないので35×65mmの大きさとしました。TRIOのロゴを入れてそれらしく・・・みえませんか?送信機と組み合わせるならこの穴の活用性は大です。
 ※上部写真の上と下のシールはどこかが違います。さて、どこでしょうか?


◇シャシ上部から◇


バリコンが真ん中に君臨してます。

ほのかに灯るオレンジ色・・・


 使われていた球は、TEN、ナショナルとメーカー混在でした。RF/IF段の指定は6BD6ですが、6BA6が挿してありました。これは指定の6BD6、マツダとNECの球を使うことにしました。
 配置は、バリコンが大きく陣取って周りが殺風景です。ぎりぎりまでIFTや球を寄せるともっと小型になったのでしょうが、裏には大きなコイルパックがあり無理です。放熱を考えるとこれでいいのかもしれません。


◇音 出 し 中◇


聞くときは天蓋を開けて聞くのだそうです。

それなら天蓋にスピーカーを付ければ?・・・格好悪い。

後ろからです。拘りは茶色のACコードです。


 聞いてみれば、さすがに高1中2です。ANT端子に線を付ければ、がんがん聞こえて来ます。SSBとCWは強い電波を拾えずなんともです。IFTの運命でしょうか、辛うじて拾った局がなんとか復調できましたが、QRMだと辛いものがあります。今となっては、のんびりラジオ放送を楽しむだけの42Jとなってしまいました。長時間聞いても疲れない真空管の音で・・・。
 ANT端子は、同軸タイプではありません。A1とA2そしてE端子の3個あります。A1とA2にタブレット型を取り付けるタイプで、当時はハシゴフィーダーだったと思います。私は、A2とE端子をショートさせて使いました。赤い線がショートバーの代わり。
 最後になりますが、このラジオは真空管ですから、相当量の熱が出て当たり前です。整流管と音声出力管は触れないほど熱くなります。その熱がケース内にこもってしまうのを避けるため、天蓋を開けて聞くラジオということです。ただし、夏場の暑いときだけ・・・。

<2007.09.10>


【1】 【2】 【3】
【ラジオHome】