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−海から山へ来たJRC−おまけ−


 振り返ってみれば、毎日少しずつ手を入れていたNRD-1ELです。細かなパーツを毎日毎日磨いていました。
 休日に自由時間があるとき、そして天気が良い日には塗装作業など大仕事をするわけです。冬を迎える前に始めたのでとても心配でした。これらの作業は、気力と根性だけの勝負、蘇るか廃棄になるかの選択です。失敗すれば粗大ゴミ、なにもしなくても粗大ゴミ・・・。
 そう、手にしたときの状態は朽ち果てる寸前の状態でした。だれが見てもゴミとしか思わないような、そんな哀れな1ELでした。OMさんに「こんな状態だけど大丈夫かな?」と訪ねたところ「まだまだ良い方。大丈夫、大丈夫!きっと直る。」と言われましたが、冗談だったのか本気だったのかわかりません。あははは・・・
今考えると励ましのお言葉だったのかもしれません。


◇使用目的は?◇

超高級ラジオで超ローカル放送局

今までベストポジションを飾っていた七洋NER−4232
どちらも飾っておきたいのですが、30畳の1/5しかないし・・


 こうして眺めてみると大きさのせいもありますが、迫力満点です。さて、もう一つの業務用受信機である七洋と比べてみるとツマミ類が少ないことに気づきます。
 七洋は、また古くさいデザインでこぢんまりとして、メカニックな感じです。これも直すのにすごく苦労しましたが、1ELはその3倍以上も費やした感じです。
 聞き比べれば短波帯は、さすが1EL!七洋とは比較にならないのではと思います。中波帯は絶対七洋の勝ち誇りです。これはCW、SSB専用機の1ELの定めというのでしょうか、中波帯はおまけのようなものなのかな?と考えたりもします。それでもローカル放送局は、ばっちり聞くことができます。なんたって、使用目的はこのローカル放送を聞くことなんですから・・・?!


◇Sメーター◇

純正品は手に入らないのでジャンク箱から流用


 Sメーターは、最初から付いていたのか、無いタイプなのかメクラ板がしてありました。オリジナルは、切替でシグナル強度と1次電圧を読み取れるようになっています。
 1次電圧は、発電機を積んだ船舶だと変動する可能性があります。そのため1次入力を監視し補正する必要があったのでしょう。
 しかし、家庭にセットするのなら電圧は安定しています。1次電圧を眺めても面白くないので、出力トランスにダイオードを付け、抵抗でドロップさせて音声のレベルを見ることにしました。気休めみたいなものですが、音量に合わせてピコピコ針が踊るのも、また楽しいのです。目盛板はてきとうに作り直しました。
 このSメータを振らせるのに大変苦労しました。というのも、オリジナル定数のまま違う容量の電流計を付けようとしていたからで、ブリーダー抵抗もそのまま。オリジナルは30μA計ではなかったのかと・・・結局これらの抵抗を撤去、AGC電圧の再調整となりました。


◇使わないけど・・・◇

2SB300は既に廃品種なので

 これは、送信時のリミッター回路のものですが、Trが逝っていて取り付けると無電圧で作動してしまいます。ということは、AGC電圧が出なくなりますので、何も聞こえなくなります。撤去しても聞く分には何も問題ありませんが、せっかく付いているので作動するようにしました。
 付いていたのは2SB300というSW用のゲルマTrです。遙か彼方昔に製造を打ち切った石でこれも手に入りません。私の18番ジャンク箱からパワーTrを見つけて付けました。
 ANTリレーだけでも事は足りると思いましたが、送信機も相当なパワーがあったのか、こんな細工がしてありました。


◇マスクパーツ◇

エスカッションも破損で欠けていました。


 この1ELは相当乱暴な扱いを受けたようで、パネル、側板そしてダイアル枠は変形ガラス割れ、エスカッションも欠けて見るも哀れな姿でした。
 ダイアル枠やエスカッションは、なんといっても1ELの顔です。これも板金塗装などで補修しました。枠などはカーボンブラックで仕上げました。墨みたいなつや消しがまたピッタリ合います。OMさんから頂いたダイアルツマミもカーボン調でまたまたピッタリ!
 欠けていた事を知っている娘が補修後のエスカッションを見て「あれ〜〜?あれ〜〜!」と眺めていました。ひっくり返せば補修したことが一目瞭然!さすがに私でも全く見えない裏まではやりません。
 割れたガラスは撤去、代わりのものを作ってはめ込み。色を着けたらバックライトが暗くなりました。指示針はオレンジに塗装です。


◇見たくても見えなかったVFO◇

OMさんが蓋を開けた写真を見せてくれました。


 ダイアルの目盛板が外れなかったために見ることのできなかった開封厳禁の中身です。OMさんが投稿されたのを勝手に使わせていただきました。ごめんなさい。
 なるほどと勉強になりました。感謝です。このVFOはコリンズ社製ということですが、周波数曲線が一定になるように再度調整して使用されていたのかな?オシロとにらめっこしてシビアに調整できるようです。
 しかし、カバー取外し厳禁とあるように開けたら開けた人の責任でございます。右下の銀色の部分で調整するそうですが、私のは外せないのでOMさんの写真を見るだけです。こんなことができる技術を持っているOMさんには脱帽です。


◇さすがOMさんです◇

981KHzを受信中!なんとか追い込めました。


 1ELは1KHzまで直接周波数を読み取れる受信機です。ということですが、確かにそれらしき目盛はありますが、マーカーでゼロを合わせ、ゼロセットつまみで針をあわせそれから読み取ればOKかと思っておりました。
 それにしてもバンドごとにあっちこっちと指示針が傾くのもなんとなく・・・格好も良くありません。ところが、これをしなくても合うんだそうでゴソゴソとやってみました。
以下は教えていただいた手順です。
○−階段1−
1.band8以上で
 (1)VFOの調整:カーソルの位置決め
 (2)サフ゛タ゛イヤル左一杯の手前でOにセット
 (3)VFO出力を、3rdMIXER -6LU8(1/2)pin#8に10PF以下の結合、
  カウンターで3455に合わせます。カウンターを外した時点で数
  HZ動きますが気にしないでおきましょう。此処まででVFOの準
  備完了です。以下、全ての調整が終わるまでVFOタ゛イヤル、
  カーソルは触りません。
2.bandを2〜7の間で選択します。2ndOSC-6U8(1/2)の水晶局発
の周波数合わせをします。
 −長いので以下省略−
最後に上手く調整できれば、さすがJRCでは無く、さすがコリンズと・・・まとめておられました。私のような超素人でもOMさんの適切なアドバイスでなんとかものになりました。感謝です。


◇お飾りなんですが・・・◇

これは未だに行方知れず・・・

 JRCのロゴマーク、剥がしておいたのですが、どういうわけか見つかりません。解体時にまとめておいたはずなんですが?異次元にでも迷い込んだのか不思議です。未だに出てきません。
 思えば涼しくなり始めた8月の末、我が家に来た1EL。一通り終わったのが大晦日も間近な12月末。のんびり慌てて、ゆっくり急いで約3ヶ月間!(なんとも変な表現ですが・・・)マイペースでした。
 画像はアクリル板で試作したところです。



コンバージョンノイズっていうのでしょうか、独特のシャーシャー音がやけに気になります。OMさんがDi検波にしたら聞きやすくなるというので真似をしてみました。OMさんはNRD-2をお持ちになっています。
 とりあえず試験してみることに・・・。なるほど!と早速実行です。BFO-SWの片側を利用して切り替えることとします。ということは、またパネルを外さなくては・・・もう、何回外したことでしょう?ちぇ〜〜です。


◇ラジオ放送はダイオード検波◇ 

仮付けで実験中です。


 


◇リヤビュー◇

箱に入れる状態になった1EL


 1ELから放たれるサウンドは決して良い音とはいえません。大きなSPを付けてもしれたもの、音楽番組では役立たずです。しかし、この柔らかな音はやっぱり球です。
 気になったのが、AGCをTポジションにしたときに変な音になります。それもそのはずAF段からダイオードを介してPAに供給されているからでした。音声を半波整流しては変な音になっても仕方がありません。
 では、なぜこんな回路が組み込まれているかというとCWを聞けば納得できます。音は変わるけどすごく聞きやすいのでした。帯域も変えられるので混信にも強いのですが、ラジオ放送向きではありません。
 そして、SSBもすごく綺麗に復調してくれます。それも柔らかな音で・・・。電波状況によりますが、簡易アンテナでもハムバンドが綺麗に聞こえました。「QRMで○Kアップします。」なんて聞こえたのでダイアルをちょこんと回せばピッタンコ!結構楽しめたりします。
 ただ、大きくて重たいのが玉に瑕。取り扱いには十分注意を要します。腰がギクッとならぬように・・・
 最後になりますが、今のアマチュア無線機なら簡単に受信してしまいます。そんな時代ですが、骨董品に手を入れて復活させるのもまた楽しいものです。その代わり苦労も沢山です。最後までご覧いただきましてありがとうございました。


− 完 −


<2007.01.06>


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