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□山へ訪ねて来たAnritsu-5904C Part 3□


 引き続き、今度は化粧パネルです。これは綺麗そうだったので、そのまま使おうと思いました。手にとってまじまじ眺めるとやっぱりサビとキズで忍びがたい感じです。
 ここは、なんといってもラジオの顔です。一番大事なところで、一番触りたくないところです。所々剥げた塗装にサビ・・・メインパネルに重ねると、どうも目立ってしまうのです。
 仕方なくペーパーでキズ消し、そしてグレーに再塗装しました。色を塗ったまでは良いのですが、あらら・・なんということでしょうか、文字が消えてしまいました。困ったぞー、困ったぞー。ほんとに困ったぞーです。
 文字の溝は残ったものの、このままだとみっともないので、夜なべ私事でなんとか文字入れをしました。目は疲れるは、肩は凝るはで、それはそれはもう〜大変、大変!二度とこんなことやるものかー。と固く心に誓うのでありました。


◇再塗装した化粧パネル◇

文字が消えました。綺麗になったけど、このままではみっともない!


◇文字入れした化粧パネル◇

苦労して文字を入れました。残すはコーティング


 ダイアルは、白のくすんだようなスーパーライトグレーの窓で、黒地にゴールド文字盤が回転するというもの・・・この色の組合せはどうも貧弱というか、安っぽく感じます。どうしてこんなちぐはぐな組合せにしたのでしょうか。
 ここは、最初見たとき「おんや?」と思ったところ・・・オリジナルには反しますが、同系色の方が絶対良いはず・・・。ダイアル枠の塗装が剥げていた事ですし、変えちゃえー!ってなものです。


◇磨いたダイアル板◇

右が未処理、この後コーティングをします。


 色を塗り終えてどんな感じになるか様子を見ることにしました。仮組みして見るとマスクがキリリと締まったように見えます。しっくりしたような、なんとなくいい感じ・・・みたいな。


◇仮組で様子を見る◇

−当 初−

−塗装後−

ダイアル窓がすっきりしました。


 スナップSWの交換もします。というのも腐食して緑青(銅のサビ)が出ていていました。拭き取りましたが、ブツブツしてます。これを磨いても、真鍮が出てくるだけです。塗装したところで剥げるだけ・・・
 仕方なく交換となります。電源SWは125V/9Aと余裕の日本開閉器、他はフジソクの6Pです。
 取り付けられていたSWを見みると1個だけメーカーが違います。レバーが折れたとかで後に交換したようです。というのもこれは相当衝撃を受けたはず、筐体の左側の底部から対角線上に歪んでいました。特に左底部は相当のダメージを受けているようでした。その時にパネル側もダメージを受けたと思われる形跡がありますので・・・・
 人のことはいえませんが、もうちょっと綺麗にハンダしてね・・・。


◇交換したスナップSW◇

黒いのは交換されたもの?


 筐体(ケース)は、ゴム足が2個しかありませんでした。ビス止めではなく強力な接着剤で固定してあったようで、衝撃でふっとんだようです。「布団がふっとんだ!」みたいなー「猫がねころんだ〜!」みたいなー親父ギャグ!「猫がふっとんだー!」なんちゃって・・・。
 ゴム足は、手持ちがないので40φという大きめのものを別途手配しました。全て交換、追加となります。
 へこんだ底部は、ハンマーで修正します。さすがに鋼板!メチャクチャ硬いものです。軽く叩いただけではびくともしません。近所迷惑だったと思いますが、カンコンコン♪とリズムを取りながら大きな音を立てて叩き出しました。このリズムが大切なのです?
 今回は、無用と思っていた板金加工もケースとIFTに必要でした。まだ、パネルまで歪みが達してなかったのが幸いです。本体を引き抜くときに引っ張っても、なか取り出せなかったのは、この歪みのせいでした。


◇衝撃で歪んだ筐体◇

ハンマーで補修します。メチャクチャ硬い!


◇修正後の底部◇

対角線上の奥、ゴム足近辺は、もっと大きくへこんでいました。


 私だけかもしれませんが、バネ式のロックヒンジ、これがどうもせっかくのスタイルを損ねているように思えて仕方がないのです。メンテには便利かもしれませんが、ごついし、横に飛び出すし、せっかくのスタイルが・・・・
 面倒ですが、メインパネルに挟む込むタイプの筐体なのでこのヒンジを撤去して、筐体にタップを切ることにしました。トラスビスを使えば見栄えも上々ですっきりするはずです。ということで取り外しにかかりましたが、メチャクチャ硬いリベットでした。気がつけば、8本切り取るのに1時間以上費やしてしいたのです。ガリゴリと・・・
 リベットは、下手に外すと要らぬところに傷を付けるし、慎重にやらなければなりません。当然、リベット痕も残ります。わからぬよう目立たぬように後処理も必要となります。このヒンジは、どうしようか迷ったところですが、外して大正解でした。ヒンジの下には、しっかり赤さびが出ていたのです。


◇気に入らなかったバネ式ロックヒンジ◇

やっと外しました。外したら赤さびだらけ!


◇撤去、後処理後◇

落ち着いた感じのチャコールに塗り替え


 本体関係で細かなものは銘板とシール作りだけになりました。面倒だけど片付けてしまわなければなりません。あ〜いやだいやだ・・・。でも頑張るのだ!
 シールは、1枚だけ、銘板はリレー用とケース上部に取り付けるもの2枚です。こういう細かなものは、まとめて行うと効率が良いと思います。


◇シールと銘板◇

1963と打ち込まれています。


 この受信機は1963年製、AAR-5904Cとあります。同梱していただいた資料には、8-BANDと書いてあります。
 しかし、手元にあるのは7-BAND?型番は同じでもこのように仕様変更が出来たのでしょうか。不思議です。
 この銘板も、ケース同様に凄いスリキズがありました。どうもこのアンリツは処分寸前に誰かさんの目に留まり救出されたのではないでしょうか。そんな気がしてなりません。
 頂いた情報では、小笠原諸島がアメリカから東京都に復帰した頃、短波回線に使われた受信機とのこと。1968年頃まで使われていたのかな?小笠原といえばアマチュア無線家のからみれば珍しいところ、偶に移動局がサービスをしていたところでもあります。


あ〜疲れた・・・


<2007.10.23>


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